国賠訴訟;地裁 第2準備書面(1)

はじめに

 「問うに落ちずに語るに落ちる」という古来からの言葉があるが、被告の10/2答弁書での主張がまさにそれにピッタリ当てはまる。これは、被告がそれこそ確信犯的に違法な情報隠しを行なったことを自白したに等しい決定的証拠であり、同時に裁判文書でこのような愚かしい主張を堂々とするところに、被告の当然の法理や社会常識をわきまえない非常識ぶり、行政としてあるまじき条例や法律への無理解と法規範意識の希薄さが如実に示されている。
 裁判官諸氏におかれてはこのことはとっくにお見通しのことと思いますが、原告としてここに改めて被告の主張に詳細に反論して、その不当性・違法性を白日の下に晒すとともに、早急に厳正なる判決を下して一刻も早く正義を回復して下さるよう、心からお願いする次第です。

1;違法な6/11逆転不開示決定を誤魔化す被告主張

 (原告の手元の新星出版社の「実用国語辞典」では、「違法=法律・規則などにそむくこと」とあるので、本論では狭い意味での法律だけでなく閣議決定や門真市の条例への違反を含めて「違法」という表現を使用する)

(1)そもそも本件団体役員氏名隠し事件の根幹は、訴状の「3:本件6.11不開示決定事件の事実」に示したように、

@開示請求に対する開示・不開示の決定期限(15日以内)ぎりぎりに「6.7開示決定」(6.6開示決定も含む)を行なって原告に通知しておきながら、開示当日の6月11日の朝になってから庁内の会議で突然不開示に決定を変更し、この逆転不開示決定(=「6.11不開示決定」)に基づいて原告に対して団体役員氏名不開示の行為(文書の閲覧とコピー)を行なった。

Aこの「6.11不開示決定」は、「15日以内」という決定期限を正当な理由なく4日も超過するものであり、かつまた条文にも手引書にも反して、一度行なった開示決定を請求者に不利益になる方向に、実施機関が勝手に変更したものである。

Bこの逆転不開示の内容自体も、請求者への通告の仕方も、請求者が想像もできない不利益なことを、市が全く恣意的に請求者に科したものであって、法治主義と行政手続きの根本に違反した行為であり、通知された決定内容を信じて開示日に足を運んだ請求者に、耐え難い打撃を与えて侮辱した。
 ということである。

(2)しかるに被告10/2答弁書では、この「6月11日午前に行なった逆転不開示決定」の存在を なんとか隠ぺいせんものとして、「6月11日に何が行なわれたのか」、「原告に役員氏名不開 示を強制した逆転不開示の決定はいつ行なわれたのか」等への言及から逃げ回っているのである。
 以下に被告の主張を引用しつつその問題点を指摘していく。

【被告主張 3】

 (前略)・・それらに対し、同年6月6日及び7日に公文書開示決定があった事実は認める。
 しかしその後、市内部において上記決定内容に疑義が生じたので、上記決定内容を変更することになり担当部署において、原告に上記同年6月6日及び7日付の公文書開示決定書を返還して貰い、改めて一部不開示とした同年6月6日及び7日付の公文書開示決定書を渡すという、いわゆる文書差替えの方法で新たな公文書開示決定書を渡そうと考えた

問題指摘1;「上記決定内容を変更することになった」のはいつなのか?
    (原告書面で詳細に論証しているように)それは「開示予定日たる6月11日当日」
      のことではないか!

問題指摘2;「決定内容の変更」というのは、新たな(不当な)決定ではないのか?
   当然これは「6.7開示決定」を(不当に)逆転させた「新たな不開示の決定」を行なっ
     たものである。

問題指摘3;あえて「担当部署において・・・考えた」と書いた理由は何か?市長部局と教
         育委員会と個別に判断したと言いたいのか、それともさらに団体所管の各部
         ごとに 判断 したと言いたいのか?
    これも原告書面で詳細に論証しているように、「中本企画部長らを主軸に市として
      の 統一見解が決められて、それが各部署に通知され、各部署は2時に設定され
      ていた 開示時刻に間に合わせるために大急ぎで不開示部分の墨塗りに追われ
      つつ、統一対応をした」ものであって、「担当部署」があれこれ判断したものでは
      ない。
       被告の言い方は、逆転不開示への決定変更の重大性を少しでも軽く見せよう
      とする小細工に他ならない。

問題指摘4;「改めて一部不開示とした同年6月6日及び7日付の公文書開示決定書」を
         作成したのはいつなのか?
    これが6月11日に他ならない以上、原告が「日付偽造の虚偽公文書作成」だ、
      と批判することのどこがおかしいのか?

【被告主張 4】

 しかし、原告の過去の言動から考えて、そのような文書差替えの方法で決定内容の変更に応じる筈がなく、また遡って同じ日付で内容の異なる決定書を作成することはおかしいから、正式に先の決定を取消し、改めて一部不開示とした新たな公文書開示決定書を作成・交付したものである。

問題指摘5;「原告がそのような文書差替えの方法で決定内容の変更に応じる筈がなく」
          と いうが、「原告が応じるはずがない」と予測する手法を用いた意図は
          何なのか?
         また、「文書差替えの方法で決定内容の変更」とは、「決定の変更」とはどう
         違うのか?
     「原告が応じるはずがない」と予測しながら、6月11日の2時の開示行為開始に
       なって突然に「6.7開示決定が本日変更されて不開示となった」と原告に告げて
       「文書差し替え」を求めたのは、「原告が不開示決定文書の受け取りを拒否した」
       という歪曲非難を行なうためであったことが、ここで露呈された。行政として実に
       悪質である。
     条例違反の恣意的な「決定の変更」という事実を少しでも軽く見せようとする
       小細工 としか思えない。「言語明瞭・意味不明」という類の言い方である。

問題指摘6;「遡って同じ日付で内容の異なる決定書を作成することはおかしい」と
         判断 したのはいつなのか?
         おかしいと思いながら11日に作成したとでも言うのか?
     「甲第30号証;6月11日の「不開示への決定変更」に係わる決裁文書」にある
       よう に、11日作成の「日付偽造文書」は正規の決済を経て作成されたもの
       である。
       「おかしい」と考えたのは、11日の不開示騒動が終わってしばらく立ってから
       のことであり、だからこそ原告からの引き渡し要求を1日延ばしにしつつ、庁内
       で検討を重ねて6月19日になって文書の作り直し(「6.19付け不開示決定
       文書」)を行なったのである。

問題指摘7;「正式に先の決定を取消し、改めて一部不開示とした新たな公文書
         開示決定書を作成・交付した」と言うが、「正式に先の決定を取消し」た
         のはいつか?
          「6月11日の逆転不開示決定」は「先の決定の取り消し」ではないと
         でも言うのか?
      事実は、[6.7開示決定]ー[6.11逆転不開示決定(日付偽造文書作
        成)]
− [6.11当日に文書差し替えを拒否された・役員氏名墨塗り等6.11
        不開示決定 に基づく開示行為]―[6.11以降に日付偽造にやばいと気付い
        たので原告に引き渡さずウソを付きながら庁内で対策を協議し続けた
       (偽計業務妨害)― [6.19不開示決定](日付偽造事件の取り繕い)、という
        ものである。
        つまり、「不開示の内容は一緒だが日付が6.7と6.19で違う二つの
       不開示決定」 がそれぞれ6月11日と6月19日に作成された
、ということ
        であり6.19決定は6.11の日付偽造事件を誤魔化すために行なわれた、
        ということである。

問題指摘8;仮に6.19決定が「正式な決定」だとするならば、6月11日に役員氏名を
         不開示にして大騒動を引き起こした被告の行為は、いったい何に基づくもの
         だったと言うのか? 正式な決定もないのに勝手に不開示にしたのか?
      これも要するに不当違法な「6.11逆転不開示決定」の存在をなんとか覆い
        隠そうとする小細工に他ならない。

【被告主張 5】

 被告市は、誤った決定をその公開前に取消し、改めて訂正された決定をすることは当然の職務であり、違法ではないと確信する。

問題指摘9;被告が行なったことは、妥当な開示決定を不当に取り消して、不当違法な
         不開示決定をしたものである。
       団体役員氏名の不開示の不当性は原告が既に十分に論証しているが、
         「語るに落ちた10/2答弁書」でさらに決定的にその違法性が明らかになった
         ので、別項でそれを論証していく。

問題指摘10;条例で定められら決定期限ぎりぎりでなされた開示決定を、「公開前に
          取消し、改めて訂正された決定をする」ことは、門真市情報公開条例のどの
          規定によると言うのか?
          どこにもそのような規定がないのに、市がある日勝手に決定変更を、それも
          開示請求者への不利益変更をしてもよいとする根拠は何か?
          決定通知後でも一方的かつ何ら条例に依らずして決定変更してもよいと
          するならば、それは行政に無責任と恣意性のフリーハンドを与えて、条例を
          踏みにじるだけでなく、そもそも法治主義に違反するのではないか?
      この主張は被告門真市が、情報公開条例の規定を何ら尊重する意思も守る
        意思もなく、その時々の恣意的な都合判断で好き勝手に不開示にして恥じない、
        という実態を自ら告白したものである。

(3)被告が6月19日に改めて不開示決定をしたこととは関わりなく、被告が6月11日に門真市情報公開条例に違反する不当な不開示決定を行ない、それに基づいて原告に対して公益法人をも含めて団体役員氏名不開示という違法な情報隠しを行なったこと、6月11日にまさに原告に手渡さんとする「日付偽造文書」を作成したこと、11日以降19日夜9時までこの「日付偽造文書」事件を原告にヒタ隠して、「6.11逆転不開示決定通知はもうすぐ渡しますからちょっとだけ待って下さい」と原告に毎日ウソをつき続け、19日にこの「日付偽造文書」を廃棄処分にすることで、9月議会一般質問や行政の実態調査を進めんとする原告の議員としての「業務を偽計をもって妨害」した事実は、以上見たように明白である。

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