国賠訴訟;地裁 第1準備書面(5、6、7)

5;市の違法行為が意図的、組織的になされたことの説明

 本件事件の市の違法行為が意図的、組織的になされたことは、訴状および本書面の記述によって明白である。
 さらに付け加えると、違法と承知していながら居直りを益々進めている点において、より悪質さを増しているということである。そのことは6月議会での対応のみならず、8月9日提訴以降の対応、9月議会での対応に明かである。

  その典型的な例が、原告が9月12日に起こした開示請求に対する市の対応であって、「閣議決定や政府見解によって、その役員の氏名・住所について、『何人に対しても公開される』ことになっているところの、公益法人につき、門真市が平成12年度に補助金・助成金・交付金を交付した法人の役員の氏名・住所のわかる文書の開示」を求めたのに対して、門真市が堂々と、「役員氏名・住所は個人情報につき不開示」、と決定通知をしてきたことである。
 今の門真市は、法令・閣議決定・条例に違反することを百も承知で、全庁挙げて、何が何でも公金支出団体の責任者氏名を隠すことにひたすら奔走している、としか言いようがない。

   ◎甲第50号証;公益団体についてまで役員氏名不開示を明言する9/25決定通知
             の一例
      @ 社会福祉法人「門真市社会福祉協議会」について
       A 社団法人「門真市医師会」と「門真市歯科医師会」について

6;原告が被った損害の証明についての説明

T:訴状の「10;原告が上記違法な6.11不開示決定によって被った損害」中の以下の項目については、訴状および本準備書面記述によって既に明白なので付け加えることは特にない。

(1)原告のもともとの公開請求の目的

(2)6.11不開示決定によって、広汎で度重なる情報公開請求やその結果分析、議会質問やビラやホームページ記事での訴えのために膨大な労力時間と、費用を支出せざるを得ない損害を被ってきた。

(3)本件が行政の根底が揺らぐ重大事件であって膨大な労力を取られるが故に、本件違法行為がなければできていたはずの数々の議員としての業務や活動ができなくされている。

(4)原告は行政への調査を著しく制限されると同時に、議員として非常な侮辱を受け続けている。
  これは原告個人の権能と名誉に関わる問題であると同時に、適正な行政チェックができなくされることによって、納税者市民に損害が及ぶものでもある。

U:訴状「10;(5)」の損害算定について、現段階では総計83万5920円を請求することには変わりないが、以下のように若干資料を付け加える。

 @ 事情究明のために6月11日から今日まで原告が門真市の情報公開請求において支払ってきたコピー代金は5920円。  その内訳は、
  ★6月11日コピー分;1780円。違法な「6.11不開示決定」による不当な開示の証拠
               として、開示物をコピーしたもの。
  ★7月3日コピー分;  20円。市の不当さの証拠として、「個人情報保護審査会」の
               「委員氏名塗り潰し」開示の名簿をコピーしたもの。
  ★7月4日コピー分;  10円。市の判断のデタラメさの証拠として、「シルバー人材
               センター」の役員氏名については、他の団体となぜか違って開示
               されたことを残すためにコピーしたもの。
  ★7月9日コピー分;1140円。市の不当さの証拠として、「6.11作成の日付偽造決定
               通知」や、「6月6日開示決定」およびそれらに関連する決裁文書
               などをコピーしたもの。
   ★7月11日コピー分;2000円。市の不当さの証拠として、各種団体資料や教委に対
               して 開示請求した「6.11作成の日付偽造決定通知や、「6.11作成の
                日付偽造決定通知」およびそれらに関連する決裁文書などを
               コピーしたもの。
   ★7月23日コピー分; 230円。市がいつまた「個人情報保護審査会」などの審議会・
                審査 会委員の不開示を始めるか分からないので、証拠として、
                各種審議会・ 審査会の委員名簿をコピーしたもの。
  ★8月1日コピー分; 540円。証拠として、7月11に開示請求した、「50万円以上の
               補助金を市から受けている団体の役員名簿」と、「6.7開示決定、
               6.11不開示決定、およびそれらに係わる決裁文書などをコピー
               したもの。

   (以上7件は門真市役所情報コーナーにて)

  ★8月6日コピー分; 200円。証拠として、図書館で閲覧できる守口門真商工会議所
               などの役員氏名入り資料をコピーしたもの。

  以上で8件で、合計5920円である。

    ◎甲第45号証;市の違法行為の証拠調べのために原告が支出せざるを得なかった
              コピー代金@からGまで

  これらのコピーは、市が突如として条例違反を始めたり、決定をコロコロ変えたりし、なおかつ裁判による是正しか原告の損害補償と問題解決の見通しが立たない状況であるために、証拠として市の違法行為の範囲を測定・確定することが不可欠となったために、取らざるを得なくなったものである。

7;情報開示が認められても損害が解消しないことの説明

 訴状の「11;後日、情報開示認められたとしても損害が解消しない事実 」については、訴状に追加することは特にはないが、情報公開制度による不服申立を8月12日(月)に行なったことと、しかし、この不服申立は、1ヶ月以上たった9月中旬になっても「情報公開審査会」にまだ諮問すらされない程度のスローモーさであることを、付言しておく。
 訴状で述べたように、不服申立によって救済されるとしても、いつのことか不明であり、原告の実害が回復されないばかりか、違法な不開示決定を行なった市が批判されることすらない可能性が濃厚なのである。
 それは、「情報公開審査会」が市の不開示決定が誤りであるという結論を出す前に、市が開示決定を出してしまえば、それまでの違法な不開示の責任を市は一切問われることなく、事態を終了させられるからであり、しかも門真市の審査会の場合、諮問を受けていながら4ヶ月間も会議を中断させたり、10ヶ月立っても結論を出さずに市に好きなようにさせている現実がある。
 こういう事態は、既に原告が門真市議会を相手取った「伏せ字議事録原本公開請求事件」において現実に起こっていることである。

   ◎甲第43号証;不開示決定への不服申し立てでは、1年近くも引き延ばされたうえ、
             不開示の不当性が糾されない門真市の最近の実例を示す資料
                            (懲罰取り消し裁判書面より)

 ★要するに門真市においては、当然公開されるべき情報を行政が違法に、恣意的に、好きな間だけ不開示にする状態が発生しており、それに対して情報公開制度による「不服申立」が何の歯止めにもならず、損害補償の役にも立たないので、適法な情報開示を行なわせ、原告が受けた損害を賠償させるためには、こうして裁判に訴えて白黒をつけるしかないのである。

 どうか裁判所におかれましては、この門真市行政の現実を踏まえて、厳正適切なご判断をしていただきますよう、お願い申し上げます。

以上。

 

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