国賠訴訟;地裁 第1準備書面(2)

2:<6.11不開示決定事件の事実>の説明

T;本件事件の流れについては、甲第37号証;公開請求日ごとの市の対応一覧 (5.23請求から6.21請求までの詳細)を見るのが最もよく整理されていて分かりやすい。
 この1ページから10ページまで、原告が公開請求を出した日それぞれ毎に、「対象機関」、「その公開請求の内容」、「実施機関による決定日」、「開示日」、「実施機関の対応概要」が記載され、場合によっては「原告が役員氏名を公開請求した対象団体とその所管部局」の分類整理もされている。

U;訴状の「請求の原因 3:本件6.11不開示決定事件の事実 」の(1)から(8)の全項目について、以下にその記述の中に疎明資料の紹介と解説を挟み込んで、5月23日の公開請求から、6月11日の不当な「不開示決定」と当日の騒動までの事実経過を述べていくことにする。

(1)原告は、本年5月23日に情報公開条例に基づき、市長と教育委員会に対して(以降、これらを一括して「市」と称する)「5月8日に市長、議長あてに「合併推進要望書」を出した38団体について、代表者の氏名住所、役員リストなどの公開請求を行なった。

    ◎甲第37号証;公開請求日ごとの市の対応一覧の1ページめ。
    ◎甲第8号証 5.23情報公開請求(合併推進要望団体の役員氏名など)
                              @市長あて A教育委員会あて。
     ◎甲第19号証;門真市・議会に提出された門真守口の合併に関する要望書と
              受付名簿

     ★団体名とその代表者氏名および「会長・理事長・支部長」などその団体
       ごとの代表者の「役職名」が記載されているこの「受付名簿」は、要望書
       提出者自らが作成して市と議会に提出したものである。
      このことは甲第19号証1ページ下段の、「この程、趣旨に賛同する各種団
       体より、同要望書の提出がありましたので、茲に取りまとめお届けいたし
       ます。何卒事情ご賢察のうえ、宜しくお取り計らい賜りたくお願い申し上げ
       ます。謹白」、という守口門真商工会議所会頭 高橋光壽氏の文章によっ
       ても明白である。

     ★即ち、要望団体の代表者自らが氏名と役職名を明らかにして、公に要望書
       を提出したものである。

    ◎甲第20号証;諸団体による合併推進要望の問題点を指摘する戸田のホーム
              ページ記事
    ◎甲第21号証;合併推進の団体要望の手続き不正を批判する戸田のビラ

  これに対して市は、代表や役員のデータを有している28団体(うち5団体は代表者 データのみで役員リストなし)

    ◎甲第22号証;合併推進要望団体のうち門真市が代表や役員のデータを有して
              いる団体一覧表 (各団体ごとの市からの補助金・助成金の金額も
              記載)

  のほとんどについて、「代表は氏名住所の開示、役員は氏名のみ開示」との決定を、 6月6日及び7日に行ない、その決定以前に原告との協議で6月11日(火)の午後2時に開示することが決めらていた。
  以降これを便宜上「6.7開示決定」と一括して呼ぶが、この決定では代表者氏名住所は全て開示で、原爆被害者の会など差別に関わる可能性のある3団体で役員氏名不開示があるだけで、(ほか消費生活研究会の役員不開示は疑問だが)、大変妥当と評価できる開示決定だった。

    ◎甲第37号証;公開請求日ごとの市の対応一覧の1ページめ
                 <1>「5月23日団体役員公開請求」へのまともな公開決定
    ◎甲第11号証;5.23請求に対する開示決定通知(6月6日及び7日付け通知)
      @ 門真市健康づくり推進協議会の、代表者氏名住所などの開示決定
      A    同            役員氏名などの部分開示決定
      F(社)大阪府公衆衛生協力会門真支部の、代表者氏名住所などの開示決定
      G    同               役員氏名などの部分開示決定

     など、28団体に関する合計42点の決定通知が、市から原告に渡された。
     ★甲第11号証については、裁判所に事実の重みを知ってもらうために、極一部
       を除いて、朱色の公印を押した公文書の原本そのものを提出した。

(2)この6.7開示決定は、所管部局が多岐に渡ることから、企画部情報政策課が原課を束ねて統一的対応を取ったものだが、

      ◎甲第29号証;6月6日及び7日の開示決定に係わる決裁文書
  (全部局が同趣旨ほぼ同文なので、市長部局と教育委員会からそれぞれ一例として)
       @ 保健福祉部健康増進課の開示決裁(以下の団体の分)
        ・門真市健康づくり推進協議会 ・門真市生活改善推進協議会
        ・門真市婦人団体協議会・門真エイフボランタリーネットワーク
        ・(社)大阪府公衆衛生協力会
       A 教育委員会社会教育部社会教育課の開示決裁(以下の団体の分)

        ・門真市婦人団体協議会・門真市体育協会・門真市スポーツ少年団本部

 甲第29号証@の1ページを見れば、保健福祉部健康増進課・健康増進係が起案者となって「開示請求に係わる公文書の内容を確認・審査した結果以下の通り開示または部分開示すること」を上司に伺って、「情報政策課長」と合議審査の上で、同部の課長代理・課長・次長・部長の決裁を得たことが分かる。
 そしてその内容は、「代表者の連絡先・住所等」については「開示」し、「役員(理事)リスト」については「部分開示」とするもので(同2ページめ)、それらの理由および後者が「役員は氏名は開示するが住所・電話番号は開示しない」という意味であることは、同3ページめの「5 部分開示の理由」において、「門真市情報公開条例第6条第1号及び第2号に該当(役員の住所・電話番号並びに・・・は、個人の関する情報のため、・・)によって分かる。
 つまり、この6月7日段階までは、団体役員について、「代表者の連絡先・住所等は開示」、「役員は氏名のみ開示」、というのが基本であったことがこれによって明白である。

 しかし、既に原告に決定通知が渡り、本条例で定められた「15日以内の決定期限」が6.7で切れているのに、企画部長;中本正秀は、6月10日になって「代表・役員の開示は個人情報に触れるのではないか」と企画部情報政策課長;辻光治に強く持ちかけ、所管の助役;土井祥道とも計って、ついに11日午前にあらゆる団体の代表・役員氏名の全面不開示という異様な決定を行ない(議員が兼任している消防団長の氏名だけ開示)、それに沿った開示作業のやり直しを各原課に指示したのだった。
 そして原課はこれに従って開示・部分開示・不開示の事務作業を行なった。
    (以上の経過は中本部長・辻課長が原告に語ったことに依る)

    ◎甲第5号証;門真市機構図

     ◎甲第6号証;門真市企画部幹部職員の名簿

    ◎甲第37号証;公開請求日ごとの市の対応一覧の2ページめと3ページめ。
         <2>「5月23日団体役員公開請求」への不当な6.11不開示決定
         <3>「5月23日団体役員公開請求」への不当な6.11不開示決定

(3)これを便宜上「6.11不開示決定」と呼ぶことにするが、この日作成された決定通知は全て原告に渡していた「6.7開示決定」の日付で作成されたのだった。
 即ち、日付を偽造したものであった。

    ◎甲第31号証;6月11日に「6月7日付け」と日付偽造して作成した不開示決定通知書
      @ 門真市健康づくり推進協議会の、代表者氏名住所・役員氏名の不開示決定
      A 門真市食生活改善推進協議会の、代表者氏名住所・役員氏名の不開示決定
      D (社)門真市社会福祉協議会の、代表者氏名住所・役員氏名の不開示決定
             など、市から原告に渡された28団体に関する合計42点の決定通知。

(4)この重大で原告にとって著しく不利益な決定変更は、何ら原告に通知されることはなかった。
  6.11当日は午前10時から11:03まで6月議会本会議が開催されて原告がこれに出席、終了して、開示の2時までの間ずっと市役所内にいたことを承知しながら、中本部長に至っては原告と議場内外で顔を合わせていながら、原告に全く通知することなく、不開示の決定・指示・作業が急ピッチで進められたのであった。

    ◎甲第30号証;6月11日の「不開示への決定変更」に係わる決裁文書
  (全部局が同趣旨ほぼ同文なので、市長部局と教育委員会からそれぞれ一例として)
      @ 保健福祉部健康増進課の開示決裁(以下の団体の分)
       ・門真市健康づくり推進協議会 ・門真市生活改善推進協議会
       ・門真市婦人団体協議会・門真エイフボランタリーネットワーク
       ・(社)大阪府公衆衛生協力会
      A 教育委員会社会教育部社会教育課の開示決裁(以下の団体の分)
       ・門真市婦人団体協議会・門真市体育協会・門真市スポーツ少年団本部

  ★従来とは正反対で、条例にも「手引書」にも明らかに違反するこの重大な「不開示決定」を行なうにあたって、役所内部で何ら真摯な検討が行われなかったことは、

    ◎甲第33号証;6月18日公開請求(市長あて)

    ◎甲第37号証;公開請求日ごとの市の対応一覧の6ページめ、
            <6> 6月18日の公開請求(市長へ)

  にあるように、「6月11日に当方に不開示説明をした『6月11日決定』に関わる決裁、会議文書の全て」を求めても、会議をした痕跡を示す文書は一切なく、唯一ある決裁文書では、「5 不開示の理由 門真市情報公開条例第6条第1号に該当(代表者の氏名、住所、役員の名簿は個人情報に該当するため)とか(甲第30号証@)、「3 変更理由 再度慎重に検討した結果、個人情報に該当すると判明したため。」(甲第30号証A)、と簡単に記載されているだけであることからも十分に見て取ることができる。

(5)そして午後2時、情報コーナーに赴いた原告は、辻課長より出し抜けに「団体役員氏名は不開示と決定された」と通知された。
 市と議会に合併推進という重大事を要望した団体で、市から補助金を受けている団体の代表や役員が全て不開示になるなど、想像だにできない不条理であり、なおかつだまし討ち的通告であったことから、原告はこれに繰り返し猛然と抗議と反発を行ない、辻情報政策課長に謝罪と説明の文書を証拠として書かせた次第である。

     ◎甲第9号証; 6月12日の辻情報政策課長の謝罪・説明文

   そして原告はその場で市長あての抗議文を提出し、団体の役員リストの提供をこの文書においても要求した。

      ◎甲第10号証; 6月11日の戸田の抗議及び要求文

     ◎甲第38号証;6.11不開示事件の様子と市の偽計業務妨害対応を示す
               ホームページ報告
        1ページめ;●大事件!門真市が突如見解変えて団体情報隠しに走る!●
        5ページめ;▼「通知せず申し訳ない」と誤っておきながら「戸田の受け取り
                 拒否」とは?▼

     ◎甲第44号証;6/7部分開示決定をひっくり返したいきさつを示すホームページ
               報告記事

(6)原告としてはせっかく足を運んだのに手ぶらで帰るわけにもいかず、後日争うための証拠収集としても、悲憤慷慨の涙を飲んで、各課を追求しつつ部分開示を受けるほかなかったのである。

  ★この時、証拠として取ったコピーが、

    ◎甲第28号証;
      @ 6.11に塗りつぶされて開示された「門真市健康づくり推進協議会」役員名簿
      A 6.11に塗りつぶされて開示された「門真市食生活改善推進協議会」役員名簿
      以下、Oまで合計16点の資料であり、そのコピー代金が1780円であった。
       (甲第45号証@)

 辻情報政策課長や各課への抗議も含めて、市が違法な不開示をしなければ不要だった所用時間を、この日庁舎内だけでも、約3時間支出させられたものである。

(7)辻課長は当初原告に「新たな不開示決定通知と原告所有の通知とを差し替えてくれ」と要望したが、原告は大事な証拠文書を差し出すことを拒否し、6.11不開示決定がそもそも不当で無効であることを主張し続けた。この際、辻課長は6.11不開示決定の現物を一度も原告に示すことがなく、従って原告はよもやその日付が「6月6日」や「6月7日」になっているとは考えもしなかった。

 もしそれを原告が見たならば、さらに「日付偽造文書だ!」と大騒ぎになったことは疑い得ないことである。そして辻課長は6月19日夜9時まで、その日付のことを尾首にも出さず、原告との間では一貫して「6.11不開示決定」と調子を合わせ続けたのであった。
 中本部長初め全ての関係職員もまた、議会答弁も含めて事実を告げようとしなかったのである。

(8)原告はあくまで「文書の差し替え」を拒否したのであって、6.11不開示決定通知の受け取り自体を拒否したのではない。原告にとって「ふたつの公文書」を手に入れることは、しかもそのひとつが「日付偽造文書」であることは、今後争っていくための証拠として、歓迎することこそあれ拒否すべきことではない。
 ところが、これを市は「原告が受け取り拒否したので渡せなかった」と歪曲して、不開示決定通知を原告に渡さなかったことを正当化していくのである。

    ◎甲第14号証;「6月議会文教常任委での質問答弁記録の本件該当部分」の
              2ページ下段

    ◎甲第16号証;「6月議会本会議での質問答弁記録の本件該当部分」の
              2ページ下段

    ◎甲第38号証;「6.11不開示事件の様子と市の偽計業務妨害対応を示すホームページ記事」
      5ページめ;▼「通知せず申し訳ない」と誤っておきながら「戸田の受け取り拒否」
               とは?▼

 

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