訴     状

2002(平成14)年8月9日

大阪地方裁判所 御中

原  告      戸  田   久  和

〒571−0048
大阪府門真市新橋町12−18−207(送達場所)

原  告       戸  田  久  和
電話 06-6907-7727
FAX 06-6907-7730

〒571−8585
大阪府門真市中町1−1

被   告         門  真  市
上代表者市長          東  潤

   損害賠償請求事件

訴訟物の価額 金 83万5920円
貼用印紙額  金      円


請 求 の 趣 旨

1 被告は原告に対し、金83万5920円及びこれに対する2002(平成14)年8月9日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言を求める。  


請 求 の原 因

1:原告

 原告は、1999(平成11)年4月25日行われた、門真市市議会議員選挙で当選し、現在まで、門真市議会議員の地位にある。

2:門真市には「門真市情報公開条例」が存在する。

(1)本条例は、その第1章 総則、(目的)第1条において、「市民が市の保有する公文書の開示を請求する権利を保障することにより、市民の市政への参加と開かれた市政の一層の推進を図り、もって市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにし、地方自治の本旨に即した市政の発展に寄与することを目的とする。」と規定し、第3条(実施機関の責務)において、「実施機関は、公文書の開示を請求する権利が十分に保障されるようにこの条例を解釈し、運用しなければならない。」、「実施機関は、公文書の適正な管理を図るとともに、公文書の開示の請求の手続その他この条例に基づく事務の適切かつ円滑な遂行に努めなければならない。」と定めている。

(2)本条例は、国民主権の理念に則り導き出されるところの「知る権利」を具体的な「公文書開示の請求権」として位置づけ、「市の保有する情報は原則開示であって、不開示は例外として最小限にとどめる」ものであることが、手引書冒頭に明記されている。

3:本件6.11不開示決定事件の事実

(1)原告は、本年5月23日に情報公開条例に基づき、市長と教育委員会に対して(以降、これらを一括して「市」と称する)「5月8日に市長、議長あてに「合併推進要望書」を出した38団体について、代表者の氏名住所、役員リストなどの公開請求を行なった。
 これに対して市は、代表や役員のデータを有している28団体のほとんどについて、「代表は氏名住所の開示、役員は氏名のみ開示」との決定を6月6日及び7日に行ない、その決定以前に原告との協議で6月11日(火)の午後2時に開示することが決めらていた。
 以降これを便宜上「6.7開示決定」と一括して呼ぶが、この決定では代表者氏名住所は全て開示で、原爆被害者の会など差別に関わる可能性のある3団体で役員氏名不開示があるだけで、(ほか消費生活研究会の役員不開示は疑問だが)、大変妥当と評価できる開示決定だった。

(2)この6.7開示決定は、所管部局が多岐に渡ることから、企画部情報政策課が原課を束ねて統一的対応を取ったものだが、既に原告に決定通知が渡り、本条例で定められた「15日以内の決定期限」が6.7で切れているのに、企画部長;中本正秀は、6月10日になって「代表・役員の開示は個人情報に触れるのではないか」と企画部情報政策課長;辻光治に強く持ちかけ、所管の助役;土井祥道とも計って、ついに11日午前にあらゆる団体の代表・役員氏名の全面不開示という異様な決定を行ない(議員が兼任している消防団長の氏名だけ開示)、それに沿った開示作業のやり直しを各原課に指示したのだった。
 そして原課はこれに従って開示・部分開示・不開示の事務作業を行なった。
 (以上の経過は中本部長・辻課長が原告に語ったことに依る)

(3)これを便宜上「6.11不開示決定」と呼ぶことにするが、この日作成された決定通知は全て原告に渡していた「6.7開示決定」の日付で作成されたのだった。
 即ち、日付を偽造したものであった。

(4)この重大で原告にとって著しく不利益な決定変更は、何ら原告に通知されることはなかった。6.11当日は午前10時から11:03まで6月議会本会議が開催されて原告がこれに出席、終了して、開示の2時までの間ずっと市役所内にいたことを承知しながら、中本部長に至っては原告と議場内外で顔を合わせていながら、原告に全く通知することなく、不開示の決定・指示・作業が急ピッチで進められたのであった。

(5)そして午後2時、情報コーナーに赴いた原告は、辻課長より出し抜けに「団体役員氏名は不開示と決定された」と通知された。市と議会に合併推進という重大事を要望した団体で、市から補助金を受けている団体の代表や役員が全て不開示になるなど、想像だにできない不条理であり、なおかつだまし討ち的通告であったことから、原告はこれに繰り返し猛然と抗議と反発を行ない、辻情報政策課長に謝罪と説明の文書を証拠として書かせた次第である。
 そして原告はその場で市長あての抗議文を提出し、団体の役員リストの提供をこの文書においても要求した。

(6)しかしながら辻課長の謝罪は形式的なものであって、あくまでも「個人情報だから不開示だ」と言い張るのみなので、原告としてはせっかく足を運んだのに手ぶらで帰るわけにもいかず、後日争うための証拠収集としても、悲憤慷慨の涙を飲んで、各課を追求しつつ部分開示を受けるほかなかったのである。

(7)辻課長は当初原告に「新たな不開示決定通知と原告所有の通知とを差し替えてくれ」と要望したが、原告は大事な証拠文書を差し出すことを拒否し、6.11不開示決定がそもそも不当で無効であることを主張し続けた。この際、辻課長は6.11不開示決定の現物を一度も原告に示すことがなく、従って原告はよもやその日付が「6月6日」や「6月7日」になっているとは考えもしなかった。
 もしそれを原告が見たならば、さらに「日付偽造文書だ!」と大騒ぎになったことは疑い得ないことである。そして辻課長は6月19日夜9時まで、その日付のことを尾首にも出さず、原告との間では一貫して「6.11不開示決定」と調子を合わせ続けたのであった。
 中本部長初め全ての関係職員もまた、議会答弁も含めて事実を告げようとしなかったのである。

(8)原告はあくまで「文書の差し替え」を拒否したのであって、6.11不開示決定通知の受け取り自体を拒否したのではない。原告にとって「ふたつの公文書」を手に入ることは、しかもそのひとつが「日付偽造文書」であることは、今後争っていくための証拠として、歓迎することこそあれ拒否すべきことではない。
 ところが、これを市は「原告が受け取り拒否したので渡せなかった」と歪曲して、不開示決定通知を原告に渡さなかったことを正当化していくのである。

4:ますます悪化した市の対応

(1)6月14日に原告が所属する文教常任委員会があったので、原告「条例のどこに期限一杯で開示決定通知をしてから、市が一方的に不開示決定に変更できると書いているのか」と追求したところ、市教委は答弁不能に陥って休憩協議したあと、「条例に書いていなくても当局の裁量でできる」、とおよそ行政手続きのイロハもわきまえない居直りを行ない、なおかつ与党議員達の悪辣な「質問打ち切り動議」攻撃によって追求を逃れていった。
 この文教委で、社会教育課長は、原告の「規則には違反しているけれども市の統一行動であるという意味か」との質問に、正直にも「そのようになるかと思います」と答えたのだった。

(2)6.11に前例のない異様な不開示決定をしていること自体、市長:東潤の承認を伺わせるに十分であるが、この6.14文教委での市の立ち往生による理事者側協議の際に、東市長によって「団体役員氏名の全面的な不開示」と「決定期限を過ぎてからの、請求者に不利益な決定変更」に対して明確な承認と強行突破の指揮がなされたことは疑う余地がない。

(3)その後、情報公開施策の専門家である辻情報政策課長も、その上司の中本企画部長も、原告が手引書の記載を示しても、公益法人役員の公開義務を定めた閣議決定を示しても一切取り合わず「個人情報だから不開示」と繰り返すのみで、しかも「決定変更の検討に際しては手引書を全く検討しなかった」と原告に明言する始末であった。(6月18日、中本企画部長、辻情報政策課長が原告に語る)
 さらに企画部は、条例で設置されている審議会の委員氏名開示までも、6月27日になって突然拒否するという常識はずれの錯乱を示し、7月8日にまた一転して開示するという無軌道ぶりで、行政の原則がない状態を次々に作り出して原告を疲弊させている。

(4)行政の根本を崩壊させるものとして原告がこの問題を追求し、6月20日の最終本会議一般質問の通告項目に入れてある(6.13通告済み)のを承知で、答弁作成に責任を持つ中本企画部長、辻情報政策課長らは、前日の19日夜9時になってようやく原告の事務所を訪れ、「6.11不開示決定は日付に誤りがあったので6.19付けで決定し直した」と種明かしをして「6.19不開示決定」を置いていった。
 この時初めて原告は、11日以来引き渡しを求め続けていた「6.11不開示決定」が19日に廃棄処分されたことを知らされたのである。これも全く考えもしないことであり、もしこの間にこれの開示請求をしていれば、廃棄はできなかったはずである。
 (従って、裁判所に疎明資料として提出する「6.11に作成された日付偽造の不開示決定」は市の決裁文書に付属するコピーを入手したものである。)(甲第31号証として提出)

(5)このようにして居直り強行で6月議会を乗り切った門真市では、市長や議員が代表・役員になっているもの以外は、ありとあらゆる団体の代表・役員の氏名が不開示にされ、市の公金が支出されている団体の責任者がどこの誰なのか、誰がどのようなポストを兼任しているのか、一般市民はもちろんのこと議員にすら目隠しされるようになったのである。
 公開の資料として議会に提出された決算資料の中にある、団体の代表や会計・監査の氏名すら、後で議員が聞いても「個人情報だから言えない、教えられない」とされ、情報提供は一切されず、やむなく情報公開でもとめたら氏名塗り潰しで出される有様である。これは、議員といえども直接自分が所有していない資料からは行政行為の実情を人物面で調査することが不可能になったということである。

5;6.11不開示決定の違法性〜情報公開条例の手続きに完全に違反

(1)情報公開条例では、第11条(開示請求に対する決定等)で「実施機関は、開示請求があったときは、当該開示請求書を受理した日から15日以内に開示をするかどうかの決定をしなければならない。」、と定められており、それ以上に時間がかかることが認めらるのは、その2項、「実施機関は、事務処理上の困難その他正当な理由により前項に規定する期間内に同項に規定する決定をすることができない場合においては、30日を限度としてその期間を延長することができる。」、だけであって、その「正当な理由」とは、「第三者情報を含むなどして期限内の「決定が困難」とか「請求情報が膨大」、「天災等不測の災害」、「年末年始休暇時」などに限定されている(手引書24、25ページ)。
 本件がそのどれにも該当しないことは明白である。

(2)そもそも一度行なった開示決定を、請求者に不利益になる方向に、実施機関が勝手に変更してよいということは、条例でも、手引書でも、施行規則や事務取扱要領のどこにも書かれていないことである。従って当然、そうした場合の手続きも、それらのどこにも書かれていないことである。
 故に、本件「6.11不開示決定」は、その決定自体も請求者への通告の仕方も、請求者が想像もできない不利益なことを、市が全く恣意的に請求者に科したものであって、法治主義と行政手続きの根本に違反した行為であり、通知された決定内容を信じて開示日に足を運んだ請求者に、耐え難い打撃を与えて侮辱する行為である。
 このようなことが「行政の裁量」で成立しうるのならば、もはやそれは法治主義ではなく、「人治主義」に堕した憲法違反行政と言わなければならない。

(3)このような恣意的な不利益決定は、条例第1条(目的)、第3条(実施機関の責務)、第11条(開示請求に対する決定等)、第14条(開示の実施)、に明白に違反しており無効である。

6;6.11不開示決定の違法性〜不開示情報の適用除外事項基準に完全に違反

(1)6.11に決定変更を行なうこと自体が条例違反だから、本来それ以上の検討は不要であるが、あえて千歩譲ってその内容に踏み込んだ場合でも、以下に挙げる諸点に於いて、「団体の代表・役員氏名は条例第6条(不開示情報)の(1) 個人に関する情報に該当するから不開示」という市の主張は、条例違反が明白である。

(2)条例第6条(不開示情報)においては、不開示情報として「(1) 個人に関する情報」を挙げたあとで、「ただし、次に掲げる情報を除く」として、

ア  法令若しくは条例(以下「法令等」という。)の規定により又は慣行として 公にされ、又は公にすることが予定されている情報

イ 公務員の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員の職に関する情報

を挙げ、手引書11・12ぺーじにおいてその【解釈】 を行ない、「4 ただし書ア関係  法令の規定により公示されている情報や慣行として公にされている情報は、一般に公表されている情報であり、これを開示することにより、場合によ   り個人のプライバシーを害するおそれがあるとしても、受認すべき範囲内にとどまると考えられる。・・」、「5 ただし書イ関係 公務員の職務の遂行に係る情報には、・・・公務員の範囲を限定せず、仮に特定の公務員を識別させることとなっても、開示することとするものである。」と述べている。

(3)そしてその具体例として「適用除外事項基準(不開示情報の判断指標)」を手引書39〜49ページに述べている。
 その中の「第6条第1号 個人情報(ただし書き)《開示できるもの》」の表の中には、「(1)公表することを前提として本人から任意に提供された情報の、(ウ)議会に対する請願」、と言う項目がある。
 本件で問題となっているのは「市・議会に対する要望」であるが、これは「門真市がよそと合併して欲しい」という自治体に対して自らが消滅変化する「究極の重大決断」を求めるものであり、全住民に甚大な変化を与えるものであり、それを各種団体の意志として、団体名と代表者名を市・議会に表明したものであるから、その代表者氏名は最低限この(ウ)に沿って開示されるのが当然である。

(4)そのうえ、門真市消防団の団員は、全て非常勤の地方公務員であり、消防団条例の第13条、旅費規定によってその団長・副団長は市職員の部長級として、分団長・副分団長は、課長代理級として定められているから、今回議員であるから開示された団長のみならず、少なくとも副団長、分団長・副分団長は開示対象である。

(5)また、《開示できるもの》の中に「その他何人でも閲覧することができるとされている情報」が挙げられているから、平成8年9月20日閣議決定された「公益法人の設立許可及び指導監督基準」の「(基準)7. 情報公開(1) 公益法人は、次の業務及び財務等に関する資料を主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供すること。1) 定款又は寄附行為 2) 役員名簿  3) (社団法人の場合)社員名簿・・・・」役員名簿公開が義務づけられている公益法人の場合は、無条件に開示対象となる。
 本件の場合で言えば、(社)大阪府公衆衛生協力会門真支部、(社)門真市社会福祉協議会がこれに当たる。

 ちなみに、月刊誌『公益法人』98年4月号から計5回にわたって掲載された「改正公益法人指導監督基準Q&A」において総理府は、「A−23 「一般」ということは、どのような人からもという趣旨であり、特定の人に対して、拒否できるというものではありません。」とし、役員名簿への必要的記載事項について「民法第46条第1項で氏名と住所が登記事項とされていますが、これが役員名簿の必要的記載事項となります。」、社員に対してさえも「必要的記載事項は、氏名及び住所です」、「社会的責任を負っている・・社員の氏名及び住所に係る事項を公開することは、プライバシーの侵害には当たらない」と述べているのである。

(6)また、「第6条第2号 法人等事業情報《開示できるもの》」の中に、「法人等から提供され、不開示の条件がついていない情報」、「(2)PR用で作成」されたものが挙げられている。
 「法人等」の「等」とは、手引書13ページの「その他の団体」を指し、法人格を持たない各種市民団体などであり、本件要望団体のうち、法人をのぞく全ての団体がこれに該当する。そしてそれら団体が市に代表者名やリストを提供する時に、従来の慣行からして「不開示の条件を付けずに」提供していることは明かであるから(もしそうでないというのならば、それは市に立証責任がある)、これも開示情報に該当する。
 守口門真商工会議所のように、自らのHPで役員氏名を公表しているものが開示情報に該当するのも論を待たない。

(7)さらに、市が補助金、助成金を出している団体に関してその代表者氏名住所や役員氏名、最低限でも市に提出する申請書や決算報告に氏名を出す会計や監査が開示されなければ、議員のみならず市民一般に対する説明責任を果たさないことになるから、この点でもこれらは開示されるべき情報である。

(8)以上検討したように、本件諸団体は2重3重4重に、代表者氏名住所、役員氏名が開示されるべきものであり、絶対に「不開示とされるべき個人情報」にはあたらない。唯一の例外は病者差別などのおそれへの配慮による不開示であるが、その場合でも代表者氏名は絶対開示されなければならない。

7;市は虚偽公文書作成を行なう違法を犯している。

(1)中本企画部長らは、6月11日に決定期限遅れで決定変更していながら、この時作成した決定通知に、意図的に、原告に渡す(差し替えさせる)目的で、「6月6日」もしくは「6月7日」の日付を付けている。
 これは、決定期限遅れで決定変更した事実を決定通知の上で隠ぺいするために行なわれたのであるからこそ、原告が差し替えに同意する以前には原告に見せようとせず、差し替え拒否すると原告に渡さず、再三再四の引き渡し要求にも言を左右にして引き延ばしたあげくに、19日になってこの日付偽造文書を廃棄処分したのである。

(2)この中本企画部長らの行為は、刑法第156条(虚偽公文書作成等)、「公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したとき」に該当する事は明白である。

8;市は偽計業務妨害を行なう違法を犯している。

(1)既に述べたように、中本企画部長、辻情報政策課長ら市幹部は、本件事件を6月20日の最終本会議一般質問の通告項目に入れてある(6.13通告済み)のを承知で、「6.11不開示決定通知」が日付偽造文書であるという重大事実を6月19日夜9時まで原告に隠し通し、原告からの再三再四の引き渡し要求にはその都度「夕方にはなんとか」とか、「明日にはお渡しできる」とかのその場逃れのウソを意図的つき続けた。
 最後は原告が「このまま提出しなければ警察に窃盗届けを出すぞ」言わざるを得ないほどだったが、それでも改善しようとしなかったことは、原告のその都度のホームページ記事でも明かである 。
 原告はこれがために、有事法制、住基ネット、合併問題、(のちに逮捕者が出るほどの)産廃ゴミ問題など重要課題山積みの中で、20日本会議に向けて質問原稿を作成するのに甚大な被害を被った。
 中本企画部長らが日付偽造文書の事実を明かしたのは、実に質問前日の夜9時からであり、しかも日付偽造文書自体は廃棄されて原告の手に入らず、そこに何が書かれていたか分からない状態にされたのだから、議会での質問によって行政のチェックを図るという、議員にとって最も重大な業務を市幹部のウソによって妨害されたのは明白である。

(2)従って中本企画部長らの行為が、刑法の233条(信用毀損及び業務妨害)で言う、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した」ことに該当するものである。

9:これら違法行為は意図的、組織的になされたものである。

(1)上記の虚偽公文書作成と偽計業務妨害が、最低限土井助役の承認の下に、中本企画部長、辻情報政策課長らによって意図的に実行されたものであることは、状況からして明かであり、東市長もこれを容認していた疑いが濃厚である。少なくともこれに反対はしなかったのである。

(2)情報公開条例違反の不開示決定については、東市長の承認のもとで進められたのは明かであり、少しでも手引書に書かれてある日本語が理解できれば、すぐさまその誤りが理解できるのに未だに改善されていないのは、極めて意図的であり悪質である。

10;原告が上記違法な6.11不開示決定によって被った損害

(1)原告のもともとの公開請求の目的は、合併推進要望をした諸団体において、全く民主的手続きがなされずに、会長やごく一部の役員だけでその団体が団体意志として合併を望んでいるかのような形式が作られていた例が多々あることが分かっていたので、団体の性格や構成、市との関わり具合、役員同士の人的つながり(兼任具合など)を調査することで、昨今の合併騒動の実情を把握することにあった。

(2)しかし6.11不開示決定によって、より重大緊急な問題として、この違法な不開示決定をはね返すための広汎で度重なる情報公開請求やその結果分析、議会質問やビラやホームページ記事での訴えのために膨大な労力時間と、コピー料金、紙・資料整理ファイルなど事務用品、資料やビラの印刷費用、裁判書面・不服申し立て書面作成費用などを支出せざるを得ない損害を被ってきた。

(3)そしてまた、本件が行政の根底が揺らぐ重大事件であって膨大な労力を取られるが故に、本件違法行為がなければできていたはずの数々の議員としての業務や活動ができなくされている。
 6月議会での例だけでなく、最近は住基ネットへの種々の抵抗が各地で行なわれていて、本来なら原告も接続中止申立や裁判提訴、市民への旺盛な訴えをする予定だったのに、それに時間を割けず、市民との懇談にも支障を来し、市内各施設の視察や合併問題での調査研究、その他市政の各種課題への取り組みに重大な損害を被っている。

(4)そのうえに、この違法な不開示決定に悪のりしたり、これに気遣ったりする市の部長課長らが、原告に対して「個人情報がある」ことを盾にして行政情報の提供を大幅にサボタージュしてきており、原告は「議員も一般市民も同じだから見たいものは情報公開請求してくれ」と対応されるようになって、行政への調査を著しく制限されると同時に、議員として非常な侮辱を受け続けている。
 今や原告は「普通の行政資料も見せてもらえない議員」という立場に陥とし込められているといって過言ではない。少なくとも同じ議員でありながら、与党議員と大きく差別されていることはほぼ疑いがない。
 これは原告個人の権能と名誉に関わる問題であると同時に、適正な行政チェックができなくされることによって、納税者市民に損害が及ぶものでもある。

(5)以上の損害を算定すると

@ 事情究明のために6月11日から今日まで原告が門真市の情報公開請求において支払ってきたコピー代金は5920円。

A 紙や事務用品、印刷費用、書面作成実費は5万円を下らない。

B 原告が本件のために振り向けなければいけなかった時間は少なくともこれまでの2ヶ月間で150時間は下らない。
  原告の月額報酬が64万円であるから、これを1日8時間、月25日労働に換算して計算すると1時間あたり3200円、従って150時間では48万円。

C 議員として、市民として侮辱とストレスを受けた慰謝料が30万円。

従って、総計83万5920円を本日損害賠償として請求するものである。

11;後日、情報開示認められたとしても損害が解消しない事実

(1)上記損害は既に原告が被っているものであって、後日、情報開示認められたとしても何ら損害は回復しない。

(2)原告は本日夕刻もしくは週明けの8月12日に情報公開制度による不服申立を行なうが、不服申立によって救済されるとしても(本件事例では間違いなくされるだろうが)、それはいつのことか不明であり、原告の実害が回復されないばかりか、違法な不開示決定を行なった市が批判されることすらない可能性が濃厚である。
 すなわち、不服申し立てを受けて「情報公開審査会」が開示すべきと言う「結論を出す前に、市が原告に謝罪もせずにふいに開示決定を出してしまえば、それまでの違法な不開示の責任を市は一切問われることなく、事態を終了させられるのである。
 こういう事態は、既に原告が門真市議会を相手取った「伏せ字議事録原本公開請求事件」において現実に起こっていることである。

(3)だからこそ本件の違法な不開示決定は、情報公開の不服申し立てとは別に、司法の場で裁かれなければならないのである。

12:まとめとして

 門真市職員たる東市長、土井助役、高枝助役、中本企画部長、辻情報政策課長らは、いずれも上記各行為によって、門真市情報公開条例に違反する事実が発生することを認識しながら、これを行ない、または承認したものである。
 そして原告がこれによって被った損害は、総計83万5920円を下らない。
 これは、公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行なうについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたものであるから、被告は、国家賠償法第1条に基づき、原告に対して損害を賠償する責任がある。
 よって、請求の趣旨記載のとおりの判決を求めて、訴えを提起する次第である。

 なお、本日は原告の訴えを立証するための疎明資料43項目とそのリストを合わせて提出する。そしてさらに詳しい準備書面をこの8月中に追加提出する予定である。

証 拠 方 法

甲第1号証から甲第43号証までを提出する。

この資料各項目の題名を記した「疎明資料リスト1」を提出する。