【「日の丸の一方的掲揚に反対する決議」に対する山下けいき議員の賛成討論 】 2001年12月20日 茨木市議会本会議 私は議場への「日の丸」の一方的掲揚に反対する決議に賛成する立場から討論します。 この決議は表題にあるように議会全体の合意に基づかないまま、一方的に「日の丸」を議場に掲げようとすることに、反対するものであります。 掲揚に賛成の議員諸氏は、国旗国歌法の制定を「日の丸」を議場に掲げる根拠にしていますが、なぜ議場なのか、その根拠は極めて薄弱であり、なんの説得力もないどころか、その背景に極めて憂慮すべきものを感じます。 また昨今、政府が「日の丸・君が代」を通じて、国家など集団への帰属意識を深めさせるとして教育現場に処分をちらつかせて強制しています。 戦前の偏狭な国家主義は皇国史観がその骨格をなしておりました。戦前の歴史教科書では万世一系の天皇という史実を歪めるウソがまかり通り、100歳以上の天皇が12名も存在し、中には140歳を超えた天皇が2名、在位が100年以上あった天皇までいたと教えられていました。学校の試験には「100歳を超えた天皇をあげよ」といった問題まで出されました。今では誰もが疑うことすら、当時は真理とされ、疑問を呈せば不敬罪として処罰されたのです。 戦争を反省したドイツ国民は、今もって戦争犯罪人を告発しつづけ、戦争推進のシンボルであったナチスのハーケンクロイツ、カギ十字はデザインとしても認めない。商品として販売することも拒否しています。 もしドイツ国内で、「ナチスの象徴であるハーケンクロイツを、敗戦前に生起した出来事に対する認識と評価の問題とは切り離して、国会や市議会の議場に掲げよう。そのことによって過去の戦争を曖昧にするものではなく、新しい世紀にドイツがヨーロッパの人々との信頼と友情を深め、世界から戦争をなくし、真に平和を希求し、恒久平和を築くための表現として位置付けよう」こんな決議が提案されたら、ドイツやヨーロッパの人々はどんな反応を示すでしょうか。 昨今、国会はじめ地方議会において、多数によって物事を決することが、あたかも民主主義そのものであるかのような浅薄な理解がはびこっています。 「議場への掲揚は時代の流れである」とも賛成の方々は述べています。しかし時代の流れは戦争への流れもあれば、平和への流れもあります。社会進歩の流れもあれば、その反対の流れもあります。流れる方向の是非を議論することなく、長いものにはまかれろ、寄らば大樹の陰で、時の権力者に迎合していった結果が、アジア民衆2000万人の殺戮や日本人310万人の無駄な死につながったアジア太平洋戦争ではなかったでしょうか。平和と戦争にかかわる問題について冷静に客観的に判断することが求められていると私は考えます。 さて、その流れの方向はどうでしょうか。国会はすでに大政翼賛会的様相を呈しています。日本の軍隊である自衛隊が、日章旗を掲げて戦場に派遣されました。戦争を美化する教科書も認められ、首相が軍国日本の象徴である靖国へも参拝しました。平和憲法を改悪するための国民投票法も、来年の国会に出される見込みであります。 以上、私の考えを申し上げ、議員各位の冷静で賢明な判断を希望して賛成の討論とします。 |