1/22 費用弁償監査請求棄却決定


                                        門行監178号
                                     平成14年1月22日
監査請求人代表者
 戸田 久和 様
                              門真市監査委員  北口 喜一


地方自治法第242条の規定に基づく住民監査請求の監査結果について

 平成13年11月26日付で地方自治法第242条第1項の規定に基づき提出された監査請求について監査した結果は別紙のとおりであり同条第3項の規定により通知します。

 

(別紙)

第1 監査の請求

1 請求人  門真市北巣本町17番7号
 戸 田 久 和 他107名(別紙名簿)

2 請求書の提出
 平成13年11月26日

3 請求の要旨
 監査請求書及び請求書添付の事実を証する書面から、本件請求の要旨を次のように解した。

 東市長は、平成12年11月20日から平成13年11月19日までの間、門真市議会議員に対して会議に出席する度に費用弁償として一人2,500円総額160万円を支出した。これは地方自治法第2条第14項及び地方財政法第4条第1項の規定に抵触する不当な支出である。よって東市長に対してこれを市に返還するよう勧告することを求める。

第2 監査の実施

1 請求の受理  本件請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条所定の要件を具備しているものと認め、平成13年11月29日これを受理した。

2 請求人の証拠の提出及び陳述
 法第242条第5項の規定により、平成14年1月16日、請求人に対して証拠の提出及び陳述の機会を設けた。
 この際、新たな証拠の提出は無く、請求書記載事項の補足として主として以下の内容の主張がなされた。
 門真市議会平成13年第4回定例会において平成14年度より会議に出席した際に支給される費用弁償については廃止することが決定されたところであるが、本住民監査請求に対し監査委員は監査結果において、単に条例に根拠があることをもって当該支出を是認するのではなく、適正な行政運営を求める立場から当該支出について意見を付すべきである。

3 監査対象事項
 請求書に記載の事項及び請求人提出の事実を証する書面の内容から判断して、請求の趣旨は次のとおりであるので、これを監査対象事項とした。
 (1) 平成12年11月20日から平成13年11月19日までの間、門真市議会議員に対して会議に出席する度に費用弁償として一人2,500円総額160万円が支出されたが、これは地方自治法第2条第14項及び地方財政法第4条第1項の規定に抵触する不当な支出であるか。

4 監査対象部局
 門真市議会事務局

5 監査執行上の除斥
 稲田実監査委員は、本件請求と直接の利害関係を有しているため、地方自治法第199条の2の規定により本件請求の監査執行上は除斥となる。

第3 監査対象部局の説明

対象部局である門真市議会事務局に対して本件支出の根拠について照会したところ、以下の内容の回答がなされた。
 費用弁償(議員の出席手当)の性質及び支給に係る法的根拠については、職務の執行に要した経費を償うために支給される金銭給付であり地方自治法第203条第3項において、「議会の議員等は職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる」旨を定め、同条第5項において、「費用弁償の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない」ことを規定しており、これらの規定に基づき本市では、議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例第3条第3項に基づき適法に支出している。

第4 監査の結果及び判断

1 事実関係
 監査対象期間である平成12年12月分(平成13年1月18日支払)から平成13年10月分(平成13年11月16日支払)までに支払われた費用弁償総額は148万円である。
 これは「議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例」第3条第3項の規定の基づき、(目)議会費・(節)旅費・費用弁償より支出されたが、これは所定の決裁を得た後、収入役室において審査が行われ適正なものと判断された上で執行されたことが確認された。

2 監査委員の判断
 地方自治法第203条第3項では、普通地方公共団体の議会の議員等は職務を行うために要する費用の弁償を受けることができ、また同条第5項に、その費用弁償の額並びに支給方法は条例でこれを定めなければならないと規定されている。門真市においては上記の規定に基づき門真市議会議員の報酬及び費用弁償などに関する条例を定め、同条例第3条第3項において「市議会議員が招集に応じ、又は委員会に出席したときは、別表第2に掲げる旅費を費用弁償として支給する。」と定められている。なお別表第2においては費用弁償の額は「日額2,500円」となっている。
 地方自治法第242条が規定する住民監査請求は地方公共団体の執行機関又は職員による一定の具体的な財務会計上の行為又は怠る事実に限ってその監査と非違の防止、是正の措置とを監査委員に請求する権能を住民に対して認めたものである。以上のことから本件のような条例の規定に則り支出されたものについては違法、不当な支出と断定することはできない。

3 結論
 以上のことから本件支出が不当であるとする請求人らの主張は、いずれも理由が無いものと判断する。