弁護士費用監査請求棄却の8/23通知


                                             門行監 69 号
                                            平成13年8月23日

  戸田久和様                             門真市監査委員 北口喜一
                                           同     稲田 実


地方自治法第242条に基づく住民監査請求の監査結果について

  平成13年6月27日付けで地方自治法第242条第1項の規定に基づき提出された監査請求
  について監査した結果は別紙のとおりであり同条第3項の規定により通知します。

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(別紙)

 第 1 監査の請求・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  1 請求人       門真市北巣本町17番7号   戸田久和

  2 請求書の提出  平成13年6月27日

  3 請求の要旨   監査請求書及び請求書添付の事実を証する書面から、
              本件請求の要旨を次のように解した。


 平成12年5月31日に監査請求人戸田久和(以後「請求人」という。)が原告になって提訴した損害賠償等請求事件すなわち門真市議会議長、各委員会委員長に対して「委員会記録閲覧の許可を求めること」並びに門真市長に対して100万円の「損害賠償の支払いを求めること」への対応として、安田孝弁護士・小松英宣弁護士・松尾園子弁護士3名に訴訟委任をしそれぞれに着手金として50万円合計150万円を支払った。過去の他の事件で門真市が訴訟に関して支払った着手金は15万円から20万円であり、本件金額は異様に高額である。請求人戸田久和は請求放棄によってこの訴訟を消減させたが市長は訴訟消滅という事態に際して、弁護士費用の一部返還を要請すべきであったが、なんら措置を取らないまま3人の弁護士に合計150万円の市費を費やした。よって本件公金支出は、地方自治法第2条第13項及び地方財政法第4条第1項に低触する不当過大な支出である。よって東市長に対して少なくとも弁護士
1人あたり30万円分、合計90万円を市に返還するよう勧告することを求める。

 

 第 2 監査の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  1 請求の受理  本件請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条所定の要件
             を具備しているものと認め、平成13年6月28日これを受理した。


  2 請求人の証拠の提出及び陳述法第242条第5項の規定により、平成13年8月20日、
    請求人に対して証拠の提出及び陳述の機会を設けたこの際請求書記載事項の
    補足として、主として以下の内容の主張がなされた。

   (1) 本裁判の動機は議会が議員に会議録を見せないという、むしろ議会側に原因が
      あるものである。

   (2) 門真市が関わった過去の裁判の例では、依頼した弁護士は1人又は2人であり着手
      金については20万円前後であった。本裁判に限り3人の弁護士に依頼したのは異例
      であり、また着手金についても1回のみの公判に際し一通の答弁書を作成したのみ
      であり過去の例の2倍近い1人50万円合計150万円の支出は極めて高額であり不当
      過大な支出である。


  3 監査対象事項  請求書に記載の事項及び請求人提出の事実を証する書面の内容
               から判断して、請求の趣旨は次のとおりであるので、これを監査対
               象事項とした。

   (1) 平成12年5月31日に請求人が原告になって提訴した「委員会記録閲覧の許可を求
      める訴訟」並びに門真市に対する100万円の「損害賠償の支払いを求める訴訟」へ
      の対応として、安田孝弁護士・小松英宣弁護士・松尾園子弁護士3名に訴訟委任し
      それぞれに着手金として50万円合計150万円を支払ったが、このことは地方自治法
      第2条第13項及び地方財政法第4条第1項に抵触する不当過大な支出であるか。


  4 監査対象部局  門真市市長公室及び門真市議会事務局

 

 第 3 監査対象部局の説明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   対象部局である門真市市長公室及び門真市議会事務局から事情聴取を行ったところ、
   以下の内容の説明がなされた。

   (1) 原告は以前から自己のインターネットホームページ上において門真市議会全体並び
     に市議会議長及び市議会議員を名指しで誹謗中傷を繰り返しており本件応訴に際し
     て被告は膨大なインターネットホームページの内容及び管理権にまで踏み込んで分析
     し反論するため先駆的かつ複雑な法律分野に踏み込んで対応する必要があること並
     びに原告の議会におけるルール無視に対する度重なる注意にも応ずることがないと
     いう特異な人物像を顕在化することにより門真市議会議長並びに各委員長が執った
     措置の正当性を主張し証明するためには極めて専門的法律知識を有する弁護士へ
     の訴訟委任の必要性が求められること及び訴訟期間が相当長期にわたる事が想定
     されたこと。また原告は永嶋靖久及び遠藤比呂通以上2名の弁護士に訴訟代理を委
     任していること。以上の理由により被告は応訴に際しては法律知識及び法律事務に
     精通し専門的な判断が必要とされる訴訟行為等を法律事務の過誤、審級後の対床
     等の観点から総合的に判断して対等に対抗するため3人の弁護士に訴訟代理人を
     委任し着手金として各50万円合計150万円を支払ったものである。

 

 第 4 監査の結果及び判断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  1 事実関係

   (1) 大阪地方裁判所平成12年(行ウ)第44号損害賠償等請求事件(以下「本件訴訟」という)
     に関する権限を委任するため門真市長並びに門真市議会議長は、弁護士 安田孝、小
     松英宣、松尾園子を代理人と定め訴訟委任を行った。

   (2) この訴訟委任で、門真市は3人の弁護士に対し、本件訴訟に係る権限を行使するため
     に必用な着手金を支払うものとし、その額は一人50万円合計150万円とした。

   (3) 本件支出は、訴訟に係る弁護士報酬の着手金であって、その額は大阪弁護士会
     の報酬規程に基づいて算定されたものである。支出に当たっては所定の決裁を得
     た後収入役室において審査が行われ適正なものと判断された上で平成12年7月
     21日に支出したことが確認された。なお、この経費は平成12年度一般会計予算の
     予備費から報償費に充当し支出されている。


  2 監査委員の判断

   (1) 3人の弁護士に支払った着手金額が不当過大であるかについて本件訴訟のような
      民事訴訟ではあるが行政関係類似訴訟は、手続の対審性を保障し、当事者に口頭
      弁論を通じて自己に有利な主張立証を尽くさせ、且つ相手方の主張立証に反駁する
      機会を保障したうえで行われるものである。
      訴訟の審理について、被告である門真市長、門真市議会議長並びに各委員長(以後
      「被告」という。)は、訴訟法等に定められている手続に従い、防御の方法の提出等の
      訴訟行為を行うものであるが手続は簡易なものではなく立証責任を有する被告が
      適切で十分な主張及び立証を行うためには法令及び法律事務に精通し法律事務
      を職務とする者が専門的判断により行うことが適当と考えられる。

      本件訴訟については、訴訟を円滑、公正かつ効果的に行うとの観点から総合的に
      考慮し、3人の弁護士へ訴訟事務の委任が行われたものであり、この点において被
      告である門真市並びに門真市議会、各委員長の判断は適正かつ合理的なものであ
      る弁護士の報酬については日本弁護士連合会の基準規程とこれを基準に定めら
      れた各所属弁護士会の報酬規則に標準額が定められており、個々の事件等につい
      ての具体の報醐額は基準規程等を標準として弁護士と依頼者の協議によって定め
      ることとされている。したがって基準規程等があるからといってもこれにより個別具
      体の報酬額が一律、定型的に算出され、その額が一義的に決まるものではない。
       平成12年7月21日付けの本件支出は弁護士報酬のうちの着手金であるが、内容を
      確認したところ大阪弁護士会報酬規程に準拠し適正に決定されたものと認められ
      るまた公金の支出は所定の手続により権限のある決裁権者の決裁を得て適正に
      支出されているしたがってこの訴訟委任に基づく本件弁護士報酬の支出について
      は何ら不当過大なものではない。


  3 結論  よって以上のことから本件支出が不当過大であるとする請求人の主張は、
         いずれも理由が無いものと判断する。

 



しかも市機関が請求者を「誹謗中傷の常習者」「特異な人格」と誹謗中傷!
                            
      2001/08/28  ヒゲ-戸田

 6/26に「高額過ぎた市の弁護士費用」の件で戸田が起こした住民監査請求に対して、
(詳しくはhttp://www.ne.jp/asahi/hige-toda/kadoma/1/mousitate/0106bengohiyou.htm
8/23付けでこれを棄却する決定が郵送されてきました。

  予想通りと言えば予想通りなんですが、実は戸田への「事情聴取」が行なわれたのが
 8/20(月)で、日程的に見ると単なる儀式だったなあ、と思わざるを得ません。
  監査委員会(有識者として北口喜一氏―11万8000円、議会選出として稲田実議員―
 4万5000円)(金額は月額報酬)の2人はこの支出について、「適正かつ合理的」「なんら
 過大不当なものではない」、と結論づけて市への返還要求を棄却しました。

  さてこの文書の中で、「対象部局である門真市市長公室及び門真市議会事務局から
 事情聴取を行なったところ、以下の内容が説明された」、として記載されている中味が、
 戸田への誹謗中傷としか思えないようなことが含まれているので、紹介しておきます。
 いったい誰と誰がこういうことを言ったのでしょうね。
 以下、引用です。(句読点が少ないので非常に読みにくい悪文ですが)

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(1)原告は以前から自己のインターネットホームページ上において門真市議会全体並びに
  市議会議長及び市議会議員を名指しで誹謗中傷を繰り返しており本件応訴に際して被
  告は膨大なインターネットホームページの内容並びに管理権にまで踏み込んで分析し反
  論するため先駆的かつ複雑な法律分野に踏み込んで対応する必要があること並びに原
  告の議会におけるルール無視に対する度重なる注意にも応ずることがないという特異な
  人物像を顕在化することにより門真市議会議長並びに各委員長が執った措置の正当性
  を主張し証明するためには極めて専門的法律知識を有する弁護士への訴訟委任の必
  要性が求められること及び訴訟期間が相当長期にわたることが想定されたこと。
                                         ・・・・・(以下略)・・・

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「原告は・・ホームページ上において市議会全体・議長・議員を名指しで誹謗中傷を繰り返し
ており・・」

◆どの部分がどう「誹謗中傷」にあたるのか言ってもらおうか!戸田が「誹謗中傷を繰り返
している」と断定しているようだが、事実に基づいた批判や批評を「誹謗中傷」を決めつける
神経を疑うものである。
 「ルール無視に対する度重なる注意にも応ずることがないという特異な人物像を・・」

◆戸田は「特異な」人物であって、それを「顕在化」させることが被告市議会の行為を正当化
するために不可欠である、というわけだ。4会派の戸田攻撃の言い分そのままの受け売りだ
が、裁判に勝つためには「特異な人物」とのレッテルを貼って人格攻撃するのが有利だと言
うわけだ。

●こういうことを戸田と対立してきた4会派議員が言うのならまだしも、「門真市市長公室及び門真市議会事務局」が監査委員の事情聴取に対して公的見解として述べるとは全く呆れたものだ。

●要するに、「門真市市長公室」(室長:田村正博)と「門真市議会事務局」(局長;西川光男)が戸田に対して 「市議会全体・議長・議員を名指しで誹謗中傷を繰り返しており」、「ルール
無視に対する度重なる注意にも応ずることがないという特異な人物」、と断定して公言したわ
けである。そしてそれが「監査委員文書」という公文書として残るわけだ。

●市に監査請求したら、「あれはいつも誹謗中傷を繰り返しているヤツだ」「ルール無視して
省みない特異な人物だ」と市当局から公言されて公文書に残されるということはエライ事
ではないだろうか?

 



監査委の片方が4会派議員じゃ公平であるわけもないか。
                                  2001/08/28  ヒゲ-戸田

 門真市では(日本中のほとんど全ての自治体が同じだが)、外部監査委員を置いていなくて、市長が指名して議会多数決で同意を得る「有識者」1名と、議員の中から多数決で選出される議員の監査委員1名の2名だけ。当然議員は4会派議員からだけ選出される。
(現在「有識者」=北口喜一氏、議会選出として稲田実議員(志政会))

 双方とも、市長と与党会派にとって好ましい人がなるのだから、よっぽどの違法行為が露呈しない限り、市長や与党の意向に反する監査結果を出すわけがないのだが、それにしても戸田と4会派とのバトルに直結した問題での監査でも、監査委の片方は戸田と敵対している4会派議員がやるわけだから、形式的に見ても公平であるわけがない。本当は、例えば議会内問題での監査の時は議員が監査からはずれて別の「有識者」の換えるとかの措置が必要なのだが、そういう事態への対応が想定されていないのが現実。

●議員の不正出張問題なんかを考えると、このおかしさははっきりわかるだろう。市民がそれを不正支出として監査請求しても、そういう問題の「被疑者」であり告発されている側の議員が監査委として「審判」の顔をして審理するという、とんでもない茶番劇が行なわれることになる。これなんかは今の機構の「落とし穴」の典型と言えるだろう。