門真市立公立保育所民営化基本方針(案)に
関する公開質問状

                             2007年2月20日

門真市議会戸田久和様  

  要望団体 門真市の保育・学童保育の充実を求める連絡会
             (略称:保育・学童をよくする会)
       代表 戸田 伸夫(門真市小路町19番6号)
    
  参加団体 門真保育運動連絡会
       門真市職員労働組合保育所支部
       門真市職員労働組合幼稚園分会
       門真市学童保育連絡協議会
       門真市留守家庭児童会指導員労働組合

  私たちは、門真の保育所や幼稚園、学童保育の施設など、子育て支援施策の充実を求めて活動している市民団体です。
  皆様方におかれましては、平素より、私たちの要望前進のためにご理解、ご尽力をいただき感謝申し上げます。                  
  さて、私たちは昨年の12月1日、安心して子どもを生み育て、働き、住み続けられる門真を、子どもたちが大切にされる優しい門真を求めて「門真の保育・学童保育・子育て支援施策の充実を求める要望署名」1万1700名分を門真市長に提出いたしました。
  しかし、門真市は12月8日に「門真市立保育所民営化基本方針(案)」を僅護者に対して提示しました。これに対して、「民営化で何がよくなるのか」「保育料以外に負担が増えるのでは」「経験豊かな先生や看護師は配置されるの」など、保護者の中から大きな不安の  声が出ています。
  深刻な少子化の進行にもかかわらず、門真市では保育所への入所を希望する子どもは増えており、多くの待機児童をかかえています。また、子どもを育てるのにお金がかかり、2人目、3人目を産めないという切実な訴えが出されています。
  これからの門真市を支えていく子どもは社会全体で育てるものです。そのための財源は公的責任で保障し、保育・子育て支援は民営化や企業参入ではなく、公的制度の拡充で施策の充実を図るべきであり、公立保育所の廃止や民営化はやめるべきと、私たちは考えて います。
  私たちは、門真市の将来をご討議いただく市議会議員の皆様に、門真市が提示しました「門真市立保育所民営化基本方針(案)」に対して、「賛成」「反対」のお考えをお聞きし、可能な限り門真市民にお知らせすることを考えました。大変お忙しいとところを恐縮ですが、私たちの「質問」に対してご検討のうえ、お答えいただきますようお願い申し上げま  す。また、皆様のご意見やお考えをお聞かせいただければうれしく思います。
  なお、勝手ながら遅くとも3月11日までにお答えいただきますようお願い申し上げます。


       1 以下の質問に対して、賛成か反対か○をして下さい

        「門真市立保育所民営化基本方針」(案)に ・賛成  ・反対

 

       2 公立保育所の民営化についての意見お聞かせ下さい。

 

 

 

 

 

 

お忙しい中、ありがとうございました。   

   

 


 「2/20 公開質問状」への回答書

  門真市の保育・学童保育の充実を求める連絡会 様  

2007年3月9日  夜
門真市議 戸田ひさよし

     貴団体よりの公開質問状に対し、以下に回答いたします。

   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

     1 以下の質問に対して、賛成か反対か○をして下さい
      「門真市立保育所民営化基本方針」(案)に  ・賛成  ・反対

    回答:もちろん断固反対です。 (「反対」に○)

   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    2 公立保育所の民営化についての意見お聞かせ下さい。

    回答:
1:

 民営化推進論の本質は公的な保育園経費の削減であり、保育の公的責任の放棄を良しとする誤った考えだと思います。
 それはまた、公による支出と責任を縮小し公の責務を企業の金儲けの道具に変えてしまう反民衆的な「新自由主義経済路線」の、保育施策面での現れだと思います。
 

2:

 民間保育園の運営経費が安いのは、保育士が若い年代で退職せざるを得ないような賃金・労働条件で雇用し、保育士を一生の仕事とする事ができないような条件でしか雇っていないためです。
  保育士の圧倒的多数が女性だという現実の中で、男女共同参画社会の実現においても、保育士という職業のあり方においても、こういう雇用の仕方が良いとはとうてい思えません。
  そういった民間保育園の労働条件を向上させる方向とは正反対に、行政がせっかく存在している女性がまっとうで生涯的な賃金を得られる門真市で数少ない職場を破壊して、労働条件の悪い保育園を増やす事に他ならないという面からも、民営化には反対です。 
 

3:  「民営化基本方針(案)」を生み出した「市立保育園のあり方懇話会」作成「報告書」の土台となった「公立と民間の比較」資料自体にいろんな情報隠蔽や歪みがあり、これを基に作った「民営化推進の報告書」は無効で、改めて公平公正な資料に基づいて論議をし直し、報告書を作り直さなければいけないと思います。
  例えば、決まり文句のように「多様なニーズに応えるためには民間でないと‥」と言われますが、実際には公立の保育士さん達から「多様なニーズに応える」ための工夫や提言がもの凄い熱意で多数上がっているのに、それを市当局が長年握りつぶして来たことを私は情報開示請求で確証を得ました。
  また、保育士の年齢構成問題では、「公立の保育士は50才代が40.8%もいて20才代は9.2%しかいない」というものでしたが、正職68人よりも多いアルバイト保育士73人も加えた正しい総合データを作ると、50才代は23.5%で20才代は26.82%もいて、各年代バランスが取れている事が、私の調査追求で初めて判明しました。
  (市が正職の採用無しでアルバイト増加をさせ職場内格差を作った事自体は問題ですが)
  さらに給食の主食問題で公立が民間よりも良い条件にある、という先頃問題になった事も、この「比較」では隠されていました。
 
4:  民間保育園自体が悪いとは思いませんが、営利主義に走ってしまう事や公的責任がないがしろにされる事がないようなチェックが必要だと思います。
  「民間なら良くない事をすれば利用者が減って経営危機になるから、公立よりも緊張感による自制が働く」という民間自律論は、浅はかな空論でしかありません。
  経営危機を恐れて情報隠しに走る事は十分にあるし、利用者が簡単に園を変えられるほど保育園が多数あったり近くの保育園に空きがあったりはしないのですから。
  また、難病児・障害児・種々の個別対応必要児の受け入れは経営コスト的に無理な場合が多く、そういう幼児がはじかれて少数で遠い公立への通園を強いられてしまいます。
 
5:  私自身は子どもを通わせた民間保育園に満足しているし、門真市内の今の民間保育園はそれぞれ立派なレベルにあると思っており、公立と民間との「共存共栄」が良いと思っています。
  また今後の保育園新設では、財政事情からして公立保育園の増加はかなり当分無理であり、公設民営やNPO的なものを含めた中小規模の民間運営で進めるのが適切だろうと思っています。
  しかし、今たった7つしかない公立保育園は公立のままで継続させるべきだと思います。
  それぐらいの事は13万人自治体の子育て施策として継続すべき事だと思います。
 
6:  夫婦間だけでなく地域社会にとっても「子はかすがい」であり、今後は自治体が主導して「幼児全入社会」(保育園なり幼稚園なりに)に進むべきだと私は考えております。
  そうした社会を展望した時に、7つの公立保育園は門真市の幼児とその家庭の状況を最も直接に行政が把握し、地域政策や教育に反映させていく情報拠点・交流拠点・人材拠点として最小限の数であり、今からの民営化移行=公立削減は間違った判断だと思います。
 
7:  門真市では他市の裁判判決を見て、民間への移行期間を当初想定よりも長くしましたが、それでも「公立だから入ったのに途中で勝手に民間にさせられる」という世帯が半数近くになる事はこのままでは避けられず、通園距離や定員の問題等で「あくまで公立を選択する」選択権を実際には保障されない世帯が大多数になり、これも不当な事です。
 
8:  民間移行を進める過程自体に、実は職員の種々の作業と時間による多額な業務費用、保護者・児童や保育士の種々のストレスなど厖大な犠牲を払わされるものであり、本来ならばそんな余計な事に費用労力を使わず、今の公立保育園の改善・民間への支援拡大も含めた保育施策の改良充実にそのエネルギーを使う方がよっぽど大事な事だと思います。

以上です。

(この回答文は貴団体の戸田代表宅に本日夜持参し、また当方HPで公表しました)