文句を言わないと入れる人も入れない。門真の待機児童問題の実態

  <TNさんの事例>上野口保育園のケース

◇事実経過1:

 すでに4歳児クラスと2歳児クラスに上の子が在園。01年12月生まれの3人目の子を「ちびっこ」に預けて働いている。当初は会社から育児休暇を取っていて、復職するつもりだった。そういう予定で昨年4月に児童課に行って入園申し込みをしたが、空きがなくて入れなかった。

 その時の役所の対応 「いつから入れますか?」と聞かれたので
「入れるんですか?入れるんだったらいつでも入れて下さい。会社への復帰はいつからでも出来ますから。」
 と答えると
「じゃすぐから希望ですね。入れたらすぐ連絡入れます。」と言われました。
 〈その後市役所からは連絡はなし〉(上野口のみ希望)

【問題点1】

「市から連絡なし」については、TNさんからも積極的に問い合わせすべきだった、という理屈も成り立つかもしれないが、職員も窓口で「上野口で空きが出る可能性」について、それが低いという現実をちゃんと説明するべきではないだろうか?
 「1歳未満クラス」に限定だから、空き=途中退園者とほかの待機者の関係で、4月時点でのTNさんの入園可能性の具合はかなり分かっているはず。


◇事実経過2

 02年10月の決算委員会で、中東保健福祉部長が「15年4月に定員60名の民間保育所が開設されるから待機児童は解消するもの」と答弁。
 さらに、11月の門保連と市との懇談会で、中東部長は保護者(YM)から「本当に来春から待機児童解消できるのか。できないのではないか」というかなり厳しい質問に対して「来春から解消できる」と断言している。
  (録音テープとその記録あり)

【問題点2】

  もともと「2001年4月に29人の余裕で待機児童解消できる」と国に約束していた計画が破綻して練り直した計画の最終達成であるし、議会答弁・保護者への断言からして、最低限、絶対に03年4月には待機児童解消されないといけない。当然、「週4日以上・1日6時間以上勤務か求職活動」の人がいつ現れてもすぐに入園できるというのが基本である。
 しかし、中東部長は、市で把握している門真の現状をどこまで踏まえて「待機児童解消」を請け負ったのか、「机上の空論」に過ぎなかったのではないか、という疑問が、後日の経過から湧いてくる。


◇事実経過3;

 11月初旬 市役所より保育園の入園申込みの用紙が届く。
 12月20日 市役所へ申込み書類を提出。(郵便で)
   ▲当初予定に反して育児休暇を取っていた会社への復帰が難しくなった。
 12月20日までに書類を提出しなくては4月の入園児に加えてもらえないと聞いていたので、あわててヘルパーの仕事を見つけてその事業所に証明書を書いてもらい提出した。
 仕事場所が西宮と遠かったので、近くに良い所があったらすぐに変わる予定だったので、書類を提出する時に市役所の保育係の女の人に (電話で)「仕事が変わったらどうしたらいいですか?」と聞くと、
「電話でその変わった事を伝えて下さい。」、
「今日までに提出しておかないと4月からの入園はできませんからね・・・」、
と言われた。

【問題点3】

 12月に出した仕事の証明書では、勤務の日数・時間が少し足りなくて、点数が8点だった。このため、落とされたことが2月になって初めて知らされた。(落選した理由を問いつめてから)

●「12/20段階の仕事状況で判定してしまう。その後の変化は判定に加味されない」こと、 「8点では不利になること」は、窓口で十分に分かっていたことなのに、そのことをTNさんに全く伝えていないのはあまりに不親切!

●3人兄弟全員が同じ保育園に行けないことがある、ということ(そのこと自体は仕事と保育の両立からして不当だが、門真の現実として)もあることも窓口では伝えていなかったのではないか? 

●「仕事変更は電話でもOK」と言ったということは、12/20以降の変更でも判定に加味される、ということをTNさんに思わせたということ。

●「週4日以上・1日6時間以上」の勤務でなくても、上の2人の子どもの入園が取り消されるという話は全然出されていないのだから、3人目の子どももすんなり入園させてもらえる、とTNさん側が思うのは当然。

★★そもそも職員側に、保護者側に今後の見込み・可能性をきちんと説明する責任意識も 、「03年4月からは絶対に待機児童は許されない。全員入園させなければいけない」 という責任意識も無かったのではないか?


◇事実経過4;

 03年2月に仕事変更。「週5日、40時間以上勤務」で十分に待機児童資格2月4日、上野口保育園担当の男の人に会社を変わった事を伝えた。 その時「入園者はまだ決まってません。」と言われた。
「2月10日以降に順次電話連絡を入れます」と言われ、携帯の番号を伝えた。

●2月17日、電話連絡がなかったのでTN側から電話をして上野口保育園担当の男の人と話をした。
☆「あ〜〜今回は残念ですが入れなかったですねぇ。点数が足らなかったので・・・。」
  と言われ、 「仕事が変わった事、連絡入れたじゃないですか?」
☆「あ〜〜あれは今回の入園の点数には加算されないんです。12月20日に提出していた
 だいた資料で点数を付けて今年の入園児を決めますから……。それにもう1月には入
 園出来る方は決まってましたからねぇ」
「でも入園申込書を提出した時に仕事が変わったら電話で連絡してくれたら書き換えま
 すって言ったじゃないですか?それにこの間電話入れた時はまだ入園児は決まってな
 いって言ったじゃないですか?」
☆「それは一応決まりですから」、「TNさん所よりも点数の高い人が何人も今回入れ
 ていないんですよ。母子家庭の人でも点数の低い人や仕事をしてない人等は入れませ
 んから…。」 「じゃ〜何点あったら入れたんですか?と聞くと、
☆「今回は8点でした。10点あったら入れてますね。10点の人は入れてます。」
「今回連絡した新しい会社だったら何点だったんですか?」と聞くと、
☆「10点ですね〜。」
 「じゃ入れたんですか?」
☆「そうですね。」
「じゃ〜今回私以外に何人が入園出来なかったんですか?」と聞くと、
☆「・・・・12人です。」
  (*市はこの数字について記憶にないとのこと。上野口1歳児で入園できない子は
    全部で7人。)
「じゃ〜〜他の保育園でもいいから入れて下さい」って言うと
☆「TNさんところは第一希望しか書いてなかったので他の園と言うのを希望だったら
 今度の4月からの待機児童という事でしたら希望をいれられますね〜〜〜」
  と言われました。
「じゃ〜〜簡易保育園の料金を半額にしてくれ!」とたのんだんですが、
☆「それは出来ない」と言われました。

【問題点4】

保護者の神経を逆なでするような無責任で不親切な対応。

@「12月20日に提出の資料で点数を付けて今年の入園児を決める」ことを初めて言い出し
 た。
Aそれに基づいて「1月には入園出来る方は決まっていた」のに、2/4には「入園者はま
 だ決まってません。」とウソを言っていて、反省も無し。
 (*内部では決定、外部への通知がまだ)
B「TNさん所よりも点数の高い人が何人も今回入れていないんですよ。」と平然と言っ
  て、「待機児童解消宣言破綻」に何の責任も感じていない。
C「待機児童は絶対に入園させるから、もうすこし調整時間が欲しい。待って欲しい」、
 と言うべきなのに、平然と「入れません」と言い放つ無責任!! 
D「第一希望の上野口しか書いていなかった」のは、仕事との両立でそれしか無理だと
 思ったからそう書いたのに、その事情を全く汲もうとしていない。
 TNさんが「他の保育園でもいいから入れて下さい」と言ったのは、せっぱ詰まって
 やむなくのことだが、それを聞いても「他の園と言うのを希望だったら今度の4月か
 らの待機児童に」というだけの言い方には、「待機児童解消宣言破綻」に職員が何の
 責任も感じていないことがよく示されている。
E国への約束・議会答弁・男女共同参画社会基本法違反で市民に不当な損害を与えたの
 だから、せめてもの償いとして、入園できない場合は無認可保育所の料金を市が賠償
 するのは当然ではないか。

●F3人目の子どもが少なくとも今年2月以降は、「週4日以上、毎日6時間以上勤務」
 に復活していて、上の2人の在園が認められている以上、3人目の子どもも入園させて
 くれないと仕事と保育の両立ができないし、「保育に欠ける子への保育保証」がされな
 いことになるではないか。
 (現実にはやむなく無認可保育所で過大な負担と格差大の保育環境)


◇事実経過5;

 2月18日午後4時、TN父が市役所に出向いて話しを聞きに行った。
 最初に上野口担当の石井氏に申込み人数と待機人数の表の説明を聞き「どうしてこんなに待機人数がいるんですか?」と聞くと常深係長が出て来ていろいろと話をしたが、上司の方が決める事なのでと言って話にならず。
 午後5時過ぎに中川課長が府庁の出張より戻る。岡所長が児童課の所にいたが話には加わらず。そこから延々と8時半まで市役所の児童課の方で話をした。
「こちらの方の待機人数の数字では44人位」だと言ったので、
 (*これは昨年4月段階の数字だとのこと〜3/5市が戸田に)
「400人はいるじゃないですか?」と言うと「これは申込みの人数であって待機児童ではない」との答。 (これは公立だけの人数で、実際には501人あった。)
 その後もいろいろと話をしたが、中川課長は『努力します。』としか言わず。
 午後7時過ぎYMさんから電話があり、市役所の方より7時30分頃YM宅へ電話をしていた。その事で岡所長も中川課長も常深係長もこの件に関しては知っているはず。
 午後9月過ぎ帰宅した所、中川課長より市役所の電話で電話。
「この件に関しましては再度選考して参りますのでもう少しまってください」との事。
 TN側が「明日私がいる時に電話をくれ」と言う事でこの日の話は終了。

【問題点5】

@2/18時点で、4月入園が決まらない「待機児童」が何十人もいた、ということ。
A保護者が抗議に行って初めて、「入園できない」のではなく、「努力する」と変わっ
 たと言うことは、はじめの「入園できない」で諦めた人はそれっきりに放置されると
 いうことであり、本当は「入園を確定できないが入れるように調整努力しているので
 待って欲しい」、と言わなければならないはずだ。
B市としての「この4月からは待機児童解消」宣言をしていることを保護者に説明もし
 ないし、それへの責任感ある対応になっていない。


◇事実経過6;

 2月19日、YM宅にて市役所の中川課長より午後7時に市役所の電話で電話あり。
☆「選考の結果は3月22日までに連絡をいれます」との事。
「努力しましたけども入れませんと言う事はないようにして下さいね。」と言うと、中
 川課長ははっきりと、
☆「努力しましたけども入れませんとは言いません」と言った。
(YMが市の姿勢を法律や反差別の立場からかなり厳しく批判し、ようやく市が姿勢改善)

【問題点6(指摘)】

 とにもかくにも、中川課長がTNさんの子どもについて、「入れませんとは言いませ ん」と明言したことは前進。
 3/22までには入園確定ができるものと期待するが、万一ダメだったら、市の行政責任と損害責任は徹底的に追及されなければならない。


◇事実経過7;

 3月3日、戸田が岡(福祉事務所)所長と話する。岡所長は事実経過について、今ひとつよく飲み込んでいない様子だった。(戸田もまだ事実整理不十分な状態)
 「もっと点数が高い人が何人かいたので入れなかった」という認識で、この時は特に「待機児童解消宣言の責任」や「必ず入園保証する」という姿勢は弱かったように思えた。

【問題点7】

 中川課長や職員を指揮する立場の所長として、状況認識が弱いのではないか。
 「待機児童解消の責任」や「入園保証」についても弱い感じ。


◇事実経過8;

 3月5日、戸田が再び岡(福祉事務所)所長と話する。

●2/24段階で、待機児童約90人、「空き」(?)約70人ということ。
  何とか待機児童ゼロにするために「調整中」とのこと。
 「調整」の実態は、既存施設にさらに「定員弾力化」をして職組の同意をとりつつ児
 童を多く入れることと、遠くの園でも我慢して入ってもらうことしかない模様。
  (しかし「遠くの園」自体どれほど余裕があるのか?)

●市の責任で最低限「待機児童」は必ず入園保証すべきこと、そうでなければ訴訟を起
 こされて市が敗訴するだろうことを訴えておいた。
  TNさんの場合は、仕事と保育園の両立から上野口でないとダメなことも。

【問題点8】

 果たして「待機児童解消」ができるかどうかは大いに疑問。
「空き」の意味が良く分からない。「70人」と「90人」の差の20人はどうなるのか?


◇事実経過9;

 3月になって戸田が一般質問通告に取り上げ、担当部署に改善を求めていくという状況の中で、保護者側も再度市をプッシュした結果、3月10日の夜、中川課長と担当職員1名が保護者宅を訪ねて、待機児になっている(入園できない)と言った事への謝罪をして、上野口保育園に入園出来るようになったことを告げる、という形でTNさん一家の件は一応の解決を見た。
 しかし、上野口保育園だけでも市の基準からしても入れるはずの児童が入れない、というのが何件もまだ未解決。
 例えば北巣本保育園に行ってくれと言われても、野里町に住んでいて自転車に乗れないという特殊事情のある保護者が萱島駅から通勤するには上野口保育園しか仕事との両立ができない、というような例もある。


●そもそも、  少なくとも2月から毎日勤務の仕事が決まった時点で、市の言う「狭い意味での待機児童」(週4日以上、毎日6時間以上仕事しているか求職活動している親の子のみ。以下同じ意味で使う)はすぐに入園できるべき。
  最低限「今年4月からようやく待機解消できる」としたら、4月からは無条件で「仕事と両立できる園への入園」ができないとおかしい。


参考;共産党の門真民報記事 http://www.jcp-kadoma.net/

   市は、1日6時間以上・週4日以上働いている親の子どものみが待機児童だとし、昨年も688人も保育所に入れない子どもがいながら待機児童は44名だとし、新定義では(市が補助を出している保育園に入所している子どもは待機児童にカウントしない)13名だとしています。
 しかし、保育所に子どもを預けなければ女性は仕事を探すこともできません。
 また、働いている女性は、保育所になかなか入れないから子どもを生むのを控えてしまいます。
 今は、男女共同参画社会の時代で市も昨年「男女共同参画プラン」を策定しており、いつでも入れる保育所の整備は欠かせないものとなっています。
 しかも、市は昨年の決算委員会で「15年4月に定員60名の民間保育所が開設されるから待機児童は解消するもの」と答弁していますが、すでに、フルタイムで働きながら4月からの保育所を申込みしても入れない子どもがでており、市のいう「待機児童」すら解消 出来ない状況です。


■保育係の対応に対する複数の保護者からの不評

 児童課での不愉快且つ横柄な対応の体験談が多いようだ。

@A入園希望だったが、「B保育園の方が規模的に入園しやすい」(B保育園担当者)といわれ、そうしたところ、「待機」といわれ、抗議した際、逆切れされて、「入れる  保育園を自分で探せ!」と言われた。

@母子家庭で、就職に困って相談に行ったところ「あなただけが困っているわけではない」(これまたB保育園担当者) と言われた。

@「入れてやる」という態度が不快。

@「母子家庭や生活保護世帯なら点数が高い」という言われ方をすると、「そうなってから来てくれ」と言われているような気分にさせられる。

@保護者が知りたいこと、知っておくべきことをちゃんと説明せずに、後になって言われる。

@保護者の切迫した気持ちに寄り添った対応になっていない。

@子どもを預けないと仕事探しに行けないのに、「仕事が決まらないと入園できない」なんて絶対おかしい。

@こちらが丁寧にしゃべっているのに、横柄な言われ方をして不愉快。

等々。 (以上)