第一回期日 平成十二年七月十四日午前一〇時十五分

答  弁  書

原 告        戸   田   久   和

被 告        門  真 市  議  会
外   七  名

 右当事者間の御庁平成十二年(行ウ)第四四号損害賠償等請求事件につき、

被告らは、次のとおり答弁する。

       平成十二年七月十日(月)

          (送達場所)
                〒五三〇―〇〇四七
                   大阪市北区西天満一丁目七番八号
                            ホワイトビル中之島五〇二号
                  右被告ら訴訟代理人  弁護士 安 田  孝
                       電話  〇六―六三六五―六四九九
                        FАX  〇六ー六三六五―六四九五

                 〒五三〇―〇〇四一
                    大阪市北区中央区北浜一丁目一番三〇号
                                横井北浜ビル八階
                   右被告ら訴訟代理人  弁護士 小 松  英 宣
                        電話  〇六―六二二九―〇二二五
                        FАX  〇六ー六二二九―〇二二六

                 〒五三〇―〇〇四七
                     大阪市北区西天満二丁目八番一号
                               大江ビル二〇三号
                   右被告ら訴訟代理人  弁護士 松 尾  園 子
                          電話  〇六―六三六三―〇〇二一
                          FАX  〇六ー六三六三―〇二一四

大阪地方裁判所
    第二民事部乙係  御中

第一、 本案前の抗弁

    本件請求は、いずれも却下する。
    訴訟費用は、原告の負担とする。   との裁判を求める。

 

第二、 本案前の抗弁理由

  一  本件請求は、原告が門真市議会議員の資格において、 同市議会各種委員会議事録の
     各閲覧許可を求めているものである。 従って、それらはいずれも門真市議会の自律権の
     範囲内で解決されるべき ものであって、裁判所の判断に親しまない。又、被告とされてい
     る各種委員会は、いずれも門真市議会内の 一機関に過ぎず、当事者適格を有しない。

  二  本件請求は、訴の利益を喪失している。なぜなら、門真市情報公開 条例
     (平成十一年十二月二十二日制定 門真市条例第一三号 平成一二年七月一日施行)
     に基づき、門真市議会も開示実施機関となった ことにより、各種委員会の記録も一般に
     公開されるに至り、市議会議員である原告に対しても無条件にて、閲覧させることになった
     からである。

 

第三、 本案の答弁

     本件請求は、いずれも棄却する。
     訴訟費用は、原告の負担とする。    との判決を求める。

 

第四、 請求原因に対する認否

  一  請求原因第一・ 二項記載の事実につき、認める。

  二  請求原因第三項1,2及び4記載の事実についての認否及び請求原因第四項の認否は、
     左記のとおりである。  なお、請求原因第三項3記載事実は認める。

  三 請求原因第五項は欠番。

  四 請求原因第六項記載事実につき、     

 (一)  同項1及び2の各記載事実は、概ねそのように理解されていることを認める。
     但し、同項2に記載ある「前記議会運営委員会の決定が合理的な理由なく著しい
     制約を加えるもの」との主張は否認する。

 (二)  同項3ないし5記載の主張は争う。

 

第五、被告らの主張

 一、 議員の各種委員会記録の閲覧につき、許可制となった事情

   従来、各種委員会記録は、一般市民に対しては非公開として来た経緯があるが、原告
  を含む門真市議会議員に対して、すべて無条件で公開されてきた。

   他方、原告は、かねてより門真市議会内における種々取り決め」をしばしば無視し、正副
  議長を侮辱し、議会の名誉を傷つけ、信用失墜する等の行為があったので、本議会におい
  て、原告に対して懲罰が科された。しかし、原告は、右に従わなかった。

   又、原告に対し、「問責決議」も為された。ところが、原告は他の門真市議議会に対する
  攻撃等を止めず、各種委員会記録の内容を、恣意的な解説を付した上、いわゆるインター
  ネットを通して、頻繁に公開した事実がある。

   原告の右行為により、門真市議会の品位や門真市議会議員の名誉等が毀損された結果、
  議会運営委員会において、平成十二年二月三日、各種委員会記録につき全文公開の禁止
  と共に議員の同記録閲覧について、当該委員会委員長と共に議員の同記録閲覧について、
  当該委員会委員長の許可を要する旨、決議したものであった。

 二、 平成十二年二月八日付及び同年五月九日付各閲覧申請について

   その後、原告が、平成十二年二月八日付文書により閲覧を申請したのが、請求原因第三
  項1記載の閲覧申請である。

   被告らは、右につき検討した結果、原告は従来の言動からすればどんな条件を付しても必ず
  その条件を無視してインターネット等を通じて恣意的解釈を附加して右記録を公開し、門真市
  議会の品位や他の門真市議会議員の名誉等を毀損することが予想されるので議会運営委員
  会記録につき許可せず、文教委員会記録につき、保留とした。

   原告は、その後もインターネット上で次々に、市議会議長、各種委員会委員長及び他会派を
  攻撃した。 そのため、被告らが、右攻撃に関する対応も含め閲覧申請につき、協議中であった
  ところ、原告から前記申請記録を含め各種委員会記録につき、平成十二年五月九日付閲覧許
  可申請(請求原因第三項2)が為された。

 三、 新年度に伴う役員改選

   門真市議会は、原告も請求原因第三項3で主張するとおり、間もなく新年度(平成十二年度)
  となり、各種委員会の構成が変わり、市議会議長、各種委員会委員長等も改選された。

 四、 平成十二年五月十九日付閲覧許可申請について

   原告は、右改選後の市議会議長、各種委員会委員長あて「改めて委員会議事録の閲覧を求
  める要求書」と題する平成十二年五月十九日付の閲覧許可申請(請求原因第三項4、その内
  容は従来のものと同じ、但し合併・行財政委員会について新たに追加)を提出し、これに引き続
  き、同月五月三十一日本件提訴を為したものである。

   被告らは、原告の右閲覧申請につき、前記経過から検討中であったもので、被告らの判断が
  遅れたとはいえない。

 五、 本件訴訟における審判の対象について

   本件訴訟で審判の対象とすべきは、新年度に至り、各種委員会の構成、議長、委員長など、
  役員が改選された結果、原告から本件被告である平成十二年五月十九日付「改めて委員会議
  事録の閲覧を求める要求書」と題する閲覧許可申請(請求原因第三項4)に関する事項である。

   右閲覧申請に関する事項は、すでに述べたとおり、すべて本来、門真市議会の自律権の範囲
  内で解決されるべきものである。又右閲覧申請のあった記録は、平成十二年七月一日以降、
  原告に対し、無条件閲覧が認められており、訴の利益が存在しない。

 六、 本件提訴は、権利濫用である。

   原告は、自己の為した閲覧許可申請の記録が平成十二年七月一日以降一般市民にも公開さ
  れるに至るところから、同人の申請対象文書も無条件で閲覧できるに至ることを十二分に熟知し
  た上で、前記のとおり平成十二年五月十九日付閲覧申請を為し、その回答期限を同月二十九日
  と指定し、且つ、その期限の経過を待って超スピードといえる平成十二年五月三十一日に、本件
  訴訟を提訴しているものである。原告は、即日、右訴訟提起につき、インターネット上で公開した。

   百歩譲って、仮に本件提訴につき、訴の利益が存在し、形式上、裁判により保護すべき何らか
  の権利が原告に存在するとしても、本件訴訟は「為にする」提訴と思われ権利濫用にあたる。